ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

2022-01-01から1年間の記事一覧

季節を移ろわせる香り。

花や木の名前を覚えられない。茶人としては致命的である。そもそも覚える気がないのか、そんなことはない。興味がないといえばそれまでだが、もう少しなんとかならぬものか、といつも思う。 ちゃんと覚えないと、この靴下ズタズタだぜ。 散歩をしている途中…

犬と暮らす濃密な日々。

犬と暮らしはじめて、相対性理論のことをよく考えるようになった。と、書けば賢そうだが、理系にも文系にも疎い芸大出の感覚で生きている者にとっては、なかなか難しい問題であり、真に理解しているかと問われれば、まったく自信がない。私たちが感じている…

雨雲レーダーとにらめっこ。雨だと気が乗らない犬を散歩に。

空がゴロゴロと鳴ることが、この夏は多く感じた。台風とそれに伴う豪雨。犬と散歩に出かけるときも、スマホのアプリで雨雲レーダーをチェックすることが習慣となっている。2つくらいのアプリを見比べて、セカンドオピニオンも受ける。最終的に決めるのは自分…

右側が怖い男。行きはよいよい帰りは怖いの怪。

散歩中、ユクが、どうしてもそちらには行きたくない、と力づくで拒否することがある。これは大変危ない。車道横の歩道を歩いていて、突然逆側に渡ろうとすることもある。車道に出ようとする動きだ。リードを付けているとはいえ、人間の心臓に良くない。もし…

丁寧に暮らしたい雑な人間の屁理屈。

丁寧に暮らす、という言葉がここ数十年で流行っている。一日として同じ日はないので、今日一日をしっかりと味わい、丁寧に暮らすということの印象は、とても良い。私もそうありたいな、と思う。歳を重ねるほどに、一日一日のありがたみも変わってくる。それ…

ある一日。お誕生日の犬。

ユクが三歳になった。野良犬としての生活が数ヶ月間あり、明確なお誕生日は不明である。お医者さんに歯など見ていただき、推定何ヶ月齢というところから、九月生まれであろう、ということになった。いま、九月であるから、三歳ということになる。 うちへ来た…

くっつきたがる犬。

犬のシャンプーをした日の夜のみ、犬と一緒に寝る。という計画を立てたものの、すぐに破綻した。今日が特別である、という概念を犬が理解しないからである。昨日今日ということよりも、布団に入ってよし、とされた、ということが犬にとっては重要なことであ…

猫との格闘。臆病な犬のケース。

ユクは猫が嫌いなようだ。家へやって来る前にユクがお世話になっていた預かりボランティアさんのお宅には猫も数匹住んでいた。ユクは平然と一緒にいて、大丈夫そうに見えたが、猫をかぶっていたのか。 犬も丸くなるのさ。 高校生の頃、仲良くしていた犬が近…

なぎさ橋珈琲へユクとゆく。

鎌倉から逗子へ向かう海岸線を車で走る。右手に海が見えて、大変心地よい。週末は渋滞もするが、海の前なので、そんなに苦にならない。同じような光景(といえば関東の人に怒られそうだが)が神戸の方にもある。須磨から塩屋、舞子を走る国道2号線がそうだ。…

余生、二十二年目。

いつかの法事の帰り、父と叔父、叔母、従兄弟たちと食事をしていたときのこと。私はもう五十歳になる、というようなことを話していた。すると、七十を越えた父と叔父が、声を揃えて、「五十は若いぞ」と言った。経験からそう感じたであろう言葉は、信じてお…

海は好きだが、入りたくない犬と私。

海は大好きだ。磯の香りも好き。でも海には入りたくはない。人間の話だ。子供の頃は海でよく遊んだ記憶がある。その記憶とともに、海の家のゴザを敷いた床のざらざらとした感触も思い起こされる。あれが嫌だった。真水で足を洗っても、また砂が付いてしまう…

海に着くなり、阿呆になる犬。馬鹿走りの記録。

ユクは海が大好きだ。それは、海に着いた瞬間の様子を見れば分かる。いや、海を目前に控えた信号機の前で、鼻を利かせて海の香を味わっている様子からも明らかなのだ。犬がどのくらい頭の中に地図を描けているのか、私は知らない。しかし、散歩の始まりに、…

蛇との遭遇。

蛇は苦手だ。アダムとイブをそそのかしたとして、聖書でも悪いイメージで描かれている蛇。ただし、邪悪だとかそういう観念的ことではなくて、動きにぞっとしてしまう。同様の生き物にムカデも数えられる。動きに背中が冷やされる。これらの動きに怯えてきた…

足の悪い者同士。

ちょっとおかしな脚の送りをする犬と歩く、びっこを引いた飼い主。しばらくそのような感じであったが、今はもう私はびっこを引いていない。捻挫が治ってきたからだ。怪我をして、もう三ヶ月ほど経つ。三ヶ月くらいすると、大体治るものなのだろうか。これま…

ミルクを残す犬。

ユクはあまり水を飲まない。人間界では、水は一日二リットル飲むとよろしいなどということが言われているものだから、積極的に水を飲む人達も多いと思われる。私もあまり飲まない質であるので、意識して飲むように心掛けている。喉が渇いたと感じたときには…

夏は笑顔の季節。

陽気でへらへらしています、という話ではない。いや、存外そういうことなのかもしれない。 犬は体表に汗をかいて体温調節をしない動物だ。つまり人間のように汗まみれになったりはしない。まったく汗をかかないわけではなく、足の裏からかく。足の裏にのみ、…

犬の遺伝子検査。ユクは純血の雑種犬?

遺伝子検査を受けた。犬の話である。遺伝子の傾向を知ることで、その個体がどのような病気に罹りやすいか、などのリスクを知ることができる。そうすれば、犬の食事や生活などを、飼い主が気をつけてやることができる。同じく近年では、人間も遺伝子検査が簡…

リハビリテーションを受けて、犬にも施してみる飼い主。

足首の怪我をして、目下リハビリ中である。人間の話だ。四十を過ぎてから格闘技(ブラジリアン柔術)なぞ始めたものだから、この十年余り何かと怪我をしてきた。安全な部類ではあるが、それでも格闘技であるから、小さな怪我は常である。あちこち痛い。そし…

風を吹かせる犬を制止する方法は?

「風を吹かせる」という言葉がある。あまり良い意味の文脈では使われないものだ。風を吹かせている奴は、大抵「中身がともなっていないのに偉そうにする」奴だろう。吹かせる風にも色々ある。先輩風や兄貴風、役人風などが思い当たる。うちには地元風を吹か…

二階に付いてくるようになった犬。

以前は犬に二階へ上がることを禁じていた。解禁後、犬が入ってはいけないのは台所だけだ。禁じてはいないが、大嫌いなシャワーのある浴室には自らは入ることはない。 自由になった後でも、朝の散歩が終わって朝ごはんを食べ終わると、ユクは一階で寝ていた。…

共感力。人と人。犬と人。

最近では、空気を読むことが悪いことかのように言われることが多い。数百年前から茶の湯の世界では、空気を読み合ったり、言葉でないところのことを探り合ったりしている。そういう遊びなのだ。おもてなしというものは、客と亭主における茶の湯の熟練度合い…

恨めしいなどと思わぬ犬。(のようになりたい人間)

私はいま、足首を怪我している。ブラジリアン柔術の練習中に足首をひねられた。あいつは壊し屋だから気をつけたほうがいいよ、と注意を受けていたのだが、気をつける間もなく、壊されてしまった。関節技は非常に危ない。だから練習で関節技をかけて相手を怪…

テリトリーと所有欲求。

ユクは、うちに来てからしばらくの間、吠えなかった。どのような声で吠えるのだろうか、もしかしたら吠えない犬なのか、とすら思っていた。それがある日、お隣に住む犬を窓越しに見て、吠えた。とても標準的な犬の声をしていた。吠えたものの、のちにその犬…

犬にだけ見える沼。

犬を飼っていると、動物病院へ定期的に行くこととなる。特別調子の悪い犬でなくとも、だ。法律で義務付けられている狂犬病ワクチン接種などを受けに行く必要がある。動物病院へ行くために犬を自動車に乗せる。ユクは自動車に乗るのが大好きなので、出だしは…

牛蹄(ぎゅうてい)が好き過ぎて、知恵を働かせた犬。

夜、私はシャワーを浴びていた。と、そこへ扉の外から妻の声がした。返事をしたのと同時に扉が開かれた。なかなかの緊急事態ではないか。私とは違い、虫が現れたくらいで妻がこのように騒ぐ筈はない。揺れは感じていないので、地震でもない。浴室は明るいの…

半分降りたような人間の戯言。

平均寿命を参考にすると、人生の半分はゆうに過ぎた。四十を越えた頃は、まだ半分、という余裕を感じていた。百二十歳くらいまで生きるつもりでいたから、まだまだ三分の一だ、くらいに考えていた。ところがどうだろう、五十を越えた辺りから、心持ちが変わ…

犬と雨宿り。

夕方。散歩の時間だ。あまり水分を摂らないユクのためにヤギミルクを用意してやる。ペットボトルに水を入れ、トリーツバッグにおやつを入れる。ドライTシャツを着て、ポケットの沢山付いたズボンに履き替える。ポケットには「ポイ太くん」が四枚忍ばせてある…

最初に読んで、いまでも愛読している犬のしつけ本。

犬と暮らすのは初めてなので、犬のしつけや散歩の仕方など、何も知らない状態だった。保護犬の預かりボランティアさんを通じて、ユクを迎え入れるにあたり、ケージやリードなどは教えていただいて事前に用意できたが、肝心の心構えやしつけの方法などを別に…

遠慮する犬。早起きな犬。

ユクの朝は早い。これはユクに限らず、犬の、と言うべきだろうか。見聞きした感じだと、太陽の早く昇る季節には、犬に早くから起こされる飼い主さんが多いように思われる。辺りが明るくなってくるとともに起き始めるのは自然だ。人間である私も本来はそうあ…

食べ物命の男たち。

ユクは「食べ物命」の男だ。その行動に、すべては食べることのため、という気概を感じる。一度食べ物に目をやると、見逃すまい、というつもりなのか、視線を絶対に外さない。ロックオンという言葉がぴったりだ。また、人間の手をよく見ている。部屋に人間が…