ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

右側が怖い男。行きはよいよい帰りは怖いの怪。

散歩中、ユクが、どうしてもそちらには行きたくない、と力づくで拒否することがある。これは大変危ない。車道横の歩道を歩いていて、突然逆側に渡ろうとすることもある。車道に出ようとする動きだ。リードを付けているとはいえ、人間の心臓に良くない。もしかしたら、運転席から見える光景を想像するに、運転者にも要らぬ気を遣わせてしまっているかもしれない。

そっちはこえーよ!

自分の行きたい方へ引っ張っていく、という程度のものではない。もちろん、そのようなことも頻繁に行うユクだが、これはもっと激しい抵抗だ。その、車道に飛び出ようとするくらいに避けたい嫌なものとは、水の流れる川や側溝だ。

平然と覗き込んでいる。

水に濡れることは嫌いだが、普段、橋の上から川を覗き込む様なことはしている。いったい何が怖いのか。

同じ道、同じ場所で怯えたり平気だったりする。行きは大丈夫だったのに、帰りは駄目になるとか。平然と歩いていたところがなぜ突然怖くなるのか、しばらくは理解に苦しんだ。しかし、何度かその様子を見、場所やユクの状態を関連付けて考えてみると、その謎がついに解けた。

車は乗り専です。

ユクの「右側に」水の流れる側溝や川があると怖がるようだ。右側の水が怖いのか?そのことに気づいてから、またじっくりと観察してみた。仮説は間違いないようだった。

行きは左側に川が流れている道を歩き、同じ道を帰りに歩くと川は右手になる。これで、行きは大丈夫だったのに帰りにその場所が怖くなる理由が判明した。場所ではなく、どちら側に水が流れているのか、が鍵だったのだ。

水がなければ何ともないのよ。

毎度のことながら、野良犬時代を想像してしまう。
右側に川が流れるところで、足を踏み外して転げ落ち、大変な目に遭ったのではないか。

怖がる仕組みが理解できたので靄は晴れたが、もう少し冷静に、同じ場所であることを理解していただけないものか。