ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬と暮らす濃密な日々。

犬と暮らしはじめて、相対性理論のことをよく考えるようになった。と、書けば賢そうだが、理系にも文系にも疎い芸大出の感覚で生きている者にとっては、なかなか難しい問題であり、真に理解しているかと問われれば、まったく自信がない。私たちが感じている時間は、相対的であり絶対的ではない、ということをアインシュタインは言ったのだと思う。(感覚)

あいかわらずふわっとしとるのう。

時間は不思議だ。
少し眠りに落ちただけなのに、とても長い時間を夢の中で過ごしていた、という経験は誰にでもあるのではなかろうか。それだけでも不思議なのに、物理学が、時間は変化するのだ、と言う。ますます理解が追いつかなくなる。

今年のことを振り返るにはまだ早いが、ふと、お招きいただいた「家族会」のことを思い起こした。あれは今年のゴールデンウィークのことだった。半年も過ぎていないことに驚く。一年くらいは経っているのではないか、という体感である。(もちろん感覚)

あれから、ブラジリアン柔術の練習で足首を怪我して、犬との散歩に支障をきたしたり、リハビリをやったり、と大変であった。今は、犬と一緒に走れるくらいにまで回復をして、練習も再開している。怪我したことも随分と前のようだ。

地球上では戦争や災害が起きていて、大変な目に合われている方が多数おられる中、私は毎日変わらぬ日々を過ごすことが出来ている。同じようで同じではない日々が楽しい。この瞬間が幸せというものだという認識もしている。今しかない。

まだ帰らないよな。

なぜだか分からないが、犬と暮らし始めてからの日々は濃密だ。犬の一生が短いから、そのように感じるのか。毎日が変化に富んでいるわけではない。同じような毎日だ。人によっては、いや、若かりし私もきっと、退屈だ、と思うかも知れない。そのような日々なのだ。

妻に出逢ったのも、ユクを迎え入れたのも、すべては偶然といえば偶然だ。偶然に感謝したい気持ちも芽生えるが、感謝って簡単過ぎないか、とも思う。感謝、で終わらせたくない。

まだ……帰らないよな。

ありがとう。
なんて、最期の瞬間に取っておきたい。