ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

テリトリーと所有欲求。

ユクは、うちに来てからしばらくの間、吠えなかった。どのような声で吠えるのだろうか、もしかしたら吠えない犬なのか、とすら思っていた。それがある日、お隣に住む犬を窓越しに見て、吠えた。とても標準的な犬の声をしていた。吠えたものの、のちにその犬にはマウントを取られ、完全服従をするようになった。

このところ、ユクがよく吠えるようになった、と感じている。ただ、無駄には吠えない。また、喜びの表現としては吠えない。ひとつには、自宅の周辺に誰かが侵入してきたと判断した場合に吠えている。窓越しにでも郵便屋さんが近づいて来たなら、吠えないまでも警戒しているようだ。つまりは番犬のような役割を果たしている。
その他には、近所を散歩中に、普段は見かけぬ犬と出会った場合などに吠えている。この場所は自分のテリトリーである、と言わんばかりに。面倒くさい奴である。

知らないやつきたぞ。

この「自分のテリトリー」というところが難しく、ユクが何をもって自分のものだと考えているかを人間は知る由もない。過日、ユクが道の草を食べていた(まさに道草を食っていた!)ので、止めなさい、と引き離した。そのとき、たまたま一緒にいたお友達の犬がその草を食べに向かった。するとユクはそのお友達の犬を威嚇したのだ。道端に生えている草を「自分のもの」であると認識しているようである。大変面倒くさい奴である。

ドラえもんジャイアン以上に面倒な認識を、こと所有ということに関して持っているようだ。

きおくにございません。

おやつをくれる人は、自分にだけおやつをくれる人ではない、ということを人間は容易く理解できるが、ユクには少し難しいらしい。順番である、と言い聞かせる。しばらくはお座りをして、他の犬がおやつをもらっていることを見ている。しかし、我慢の限界が来たのか、怒って吠え出した。いわゆる要求吠えをしない犬なのだが、状況的には要求吠えと考えてよい。いつもおやつをくださる方も、おやおやどうした?、と驚いておられた。

犬のテリトリー問題と所有問題は、なかなか頭が痛い。