蛇は苦手だ。
アダムとイブをそそのかしたとして、聖書でも悪いイメージで描かれている蛇。ただし、邪悪だとかそういう観念的ことではなくて、動きにぞっとしてしまう。同様の生き物にムカデも数えられる。動きに背中が冷やされる。これらの動きに怯えてきた遺伝子が生き延びてきたのだろうか。
鎌倉(山のほう)へ引っ越してきてから、虫は身近なものとなった。身近といっても親しくなったということではなく、特段求めてはいないのだがお近づきになったということだ。
山道を歩けばもちろんだが、駅の近くの舗装された道でも、クワガタが歩いていたりする。小学生の頃なら歓喜していたと思うが、今はクワガタを触れない(元)現代っ子である。
また、この舗装道路を普通に蛇が這っていたりもする。私たちは山に住んでいるのだ、と身の引き締まる瞬間である。
今朝などは、いつものお寺のいつもの道で蛇を発見した。道の色と同系で少し分かりにくかった。幸いにも動いていなかった。小さくて短めだが、なかなかにグロテスクな模様をしている。動いていない蛇にユクが鼻を近づけようとするので、うわっ蛇やん、あかんあかん、と、リードを引いてユクを蛇から遠ざけた。ひどく感情を揺さぶられた瞬間に関西弁になることは、そう簡単には変えられないようだ。
蛇は微動だにしない。死んでいるのか。それでも近づくのは怖い。引けた腰付きながら、iPhoneのズーム機能を使って拡大した写真が撮れた。さっそく呑気にインスタグラムに掲載をした。その呑気な投稿を見た妻が電話をかけてきた。マムシです。気を付けてください!
私たちは山に住んでいるのだ。