2021-01-01から1年間の記事一覧
ユクと初めて散歩したときに行ったお寺がある。そのお寺は近所で、今でもよく行く散歩コースでもある。 寺の門前に少し見上げる程度の階段があって、ユクと駆け上がり競争をすることになっている。なぜかユクは階段を見ると駆け上がりたがる。階段の上にでも…
犬はどのような犬でも人に撫でられるのが好きで、こちらが大きな声で喜びながら近付くと、犬も尻尾を振って喜ぶものである、と思っていた。犬を飼うまでは。それは大きな間違いで、大声出して駆け寄って行こうものなら、吠えられるだけならともかく、犬によ…
思いっきり走り回れるようにしてやりたい。と、犬を飼っている人は大体そのように考えているのではなかろうか。私も、ユクをリードから自由にして、出来れば他の犬たちとも触れ合うところなどを観察したいと思う。そのような飼い主の思いを実現できるところ…
私が幼稚園児くらいだった頃、将来は何になりたいかと尋ねられれば、「英語の人になりたい」と即答していた。要するに英語がペラペラと話せる人、外国人とコミュニケーションを取れる人、ということを意味している。小学生くらいになると、天文学者、作曲家…
うちへ来た当初、ユクは脚が悪くて、はしゃぎ過ぎたりするとキャインと痛がったりしていた。その後、何度かの動物病院での診断を経て、手術する一歩手前で一旦中止、沢山歩いて脚の筋肉を鍛えてみる方針を採っている。 キャインと痛がることは、ほとんどなく…
犬の散歩中、犬を連れている人と出会うと自然と挨拶を交わすようになった。犬を連れている者同士の見えない連帯感がそこには存在する。犬と暮らし始めて、犬と散歩に出かけるまでは知らなかった感覚である。しかし、私は、相手が犬を連れていようがいまいが…
ユクちゃんがおしっことうんちをしている。という妻の声で朝、目が覚めた。寝ぼけた頭で状況がよく掴めない。どこで?と私。黒いマットのところ、と妻。リビングのフローリングが滑りやすいので、トレーニングのときに使うようなマットを犬のために敷いてい…
犬の散歩に出ていると、当然のことながら他の犬に出会うことも多い。飼い主同士がお互いの犬を近づかせようと合意が取れれば、リードを緩めて、近づかせる。そして、犬同士でのコミュニケーションがはじまる。 仲良く鼻をくっつき合わせたり、ワンプロと呼ば…
私が仕事をしている部屋でも、この季節になると朝から夕刻までずっと聞こえている。引っ越してきた当初、今までの人生でホーホケキョを聞いた総回数を、一週間で上回ったのではないかと思うほど、その鳴き声を聞いた。住むところが山に囲まれているからだ。…
犬と一緒に暮らすようになり、どこへ行くにも犬と一緒に行けるほうが良いと思うようになった。幸い、仕事は家でやっているので、犬と一緒に居られる時間は多い。最近は、感染症が流行したことで、打ち合わせがしたいので今すぐ来てください、と言われること…
と、近所の犬の飼い主さんに言われた。 ユクは、左脚が良くない。どう良くないかというと、たとえば、大きい方をするときに脚を踏ん張れないので、なかなか定まらないことがある。バランスがうまく取れずに、おっとっと、おっとっと、という感じでステップを…
私は新しいものが好きだ。それは新品、という意味ではなく、これまでになかった新しい物や技術を指す。docomoのiモードというサービスが始まったときも、新しい時代が来たと息巻いて、iモード初号機(F501i HYPER)を購入した。そのとき、携帯電話がインター…
犬とのお散歩は100%楽しい。毎回、必ず楽しい。ただしそれは、結果楽しかった、ということであり、行く前に、面倒だな、と思うことはある。とくに雨が土砂降りのときなどは、グズグズしてしまう。しかし、一旦出かけてしまうと、雨中の散歩ならではの楽しさ…
犬はどの犬も可愛い。仕草も表情も、その瞬間を見れば嫌なことは全部忘れるような。そのくらいのものをどの犬も持っている。うちの犬、ユクももちろん可愛い。だから夫婦そろって、少々甘やかしすぎではないかと思えるほど、甘い。遠い宮古島でさまよってい…
私は四十を過ぎてから、ブラジリアン柔術というものにのめり込み、この6年間で身体が大きくなった。体重にして6kgほどだ。それでもまだ痩せている方なので、どれほどのガリガリ男であったか、と思う。 よく食べるようにもなった。ブラジリアン柔術というのは…
犬の鼻は大変利くと一般的に知られている。その能力は人の1億倍だとか、8キロメートル先の匂いまで分かるとか。ユクの鼻は犬のなかでもなかなか利くほうなのではないかと推察している。いや、鼻が敏感すぎる、とでも言おうか。とにかく、よくくしゃみをする…
犬は走り回って調子に乗ってくると、おそらく自制心を失っているのだろう、興奮度合いがどんどん上がってくる。次第にガルルルルというような唸り声も混じってきて、明らかに自分を見失っているような状態になってしまう。犬の「馬鹿走り」と世間では呼ばれ…
周りに自然が多いとは言え、広々としているわけではない。鎌倉の道は狭い。車と人との距離が近い。つまり犬にとっても、たいへん危険な環境だと言える。車とすれ違うときはリードを短く持ち、道の端にできる限り寄るように立ち、毎回緊張をしてやり過ごして…
私は自動車の運転を、できればしたくないと考えていた。自動車に乗ると、事故に遭う確率が高まる、危ない、という思考だ。しかし、それはあまり根拠がなく非常に視野が狭く短絡的だ。道を歩いていても交通事故に遭う可能性はあるし、むしろ自分は剥き身状態…
鎌倉(山のほう)へ引っ越してきて、おおよそ一年後にユクを迎えた。それまでのご近所付き合いと言えば、家の隣の方と出会えばご挨拶したり、近隣のレストランの方と少し仲良くなる程度のことだった。それが犬を連れて散歩するようになって、劇的に変化した…
うちへ来てから、しばらくユクは吠えなかった。世の中には無駄吠え、要求吠えだの、犬の吠えに名称が付いているくらいなので、犬の吠えに何かと意味を見出してきたのだと思われる。少なくとも「無駄」は人間にとって無駄なだけで、犬にとっては何か意味のあ…
前回は歩いて連れて行った動物病院。抱っこして坂を登ったり、犬用のバッグに入ってもらうために犬を懸命に説得したりすることを毎回は出来ない。 そこへ、妻がペットタクシーなるものを調べて見つけてくれた。自動車がないけれど、犬を遠くに連れて行かねば…
犬同士が激しく遊ぶことを「ワンプロ」という呼ぶことを、犬を飼い始めてから知った。「ワンプロ」とは、わんこのプロレスを略しているそうだ。ユクはお友達の犬とこのワンプロをするのが好きだ。お互いに走り回って体当りしたり、噛むような動作を見せたり…
鎌倉は街だと言っても海も山もあって、犬の散歩コースには事欠かない。うちは山の方なので普段の散歩コースは山道であることが多い。ずっとアスファルトの上を歩くよりは、土や砂の上を歩くほうが、犬の肉球にもやさしいのではないかと想像している。ご近所…
鎌倉にはリスが沢山いる。山に入って、歩みを止めて立ち止まり、息を潜めてみると、周りでかさかさ動く音が聴こえてくる。リスはそこそこの大きさがあるので、目視も容易だ。家の周りでもよく見かけるので、相当な数が繁殖しているものと思われる。これらは…
寝ているユクが、ひっくひっくひっく、と身体を震わせている。どうしよう、どうしよう。最初は、かなりうろたえた。それは、しゃっくりのようでもある。何か呼吸器や心臓に問題でもあるのか、とあわてた。あわてた、と言っても結局何かできるわけでもなく、…
と、考えていた。その考えはいまも変わらない。それでも、「テッテ」と言うとお手をしてくれるのはうれしい。犬と握手しているような感触があって、何だか仲良くなれたような気がする。「オテ」と言わずに「テッテ」というのは、何となく「オテ」に上からの…
ドッグイヤーとは、犬の1年が、人に換算すると7年にあたるということで、非常に発展の早いIT業界などにおいて使われる言葉だ。戌年は関係ないし、犬の耳は聞こえが大変良いという話でもない。1年間で7年分くらい飛躍的に進歩している状態を指して、ドッグイ…
家から海まで、少し距離はあるが徒歩で行ける。ユクと海に行きたい。妻はユクと海で一緒に泳ぎたいらしいが、私は浜にいてKindleを開いて眺めているほうが幸せである。まずもって海で濡れた足が嫌いだ。いつまでも濡れた砂が足の裏にこびりつくあの感覚をで…
うちには車がないので、移動手段は公共交通機関だ。ユクにはカバンに入ってもらって、一緒に電車やバスに乗り、遠方まで移動してもらうつもりだった。しかし、ユクは絶対にカバンに入らない。なので歩いて動物病院まで行くこととなった。もしかして、途中で…