ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

近いけど毎日は行けない高級カフェと少し遠くて毎日は行けない由比ヶ浜。

引っ越してくる前は、そこにコンビニがあった。
物件の内見の日には、確かにそこにあった。
こんなに近くに大きなコンビニがあって、文字通り便利だろうな、と思っていたのだが、引越し日にはなくなっていた。しばらく空き地になっていたが、その場所に高級な豆を売るコーヒーショップができた。いわゆる「サードウェーブコーヒー」という類だろう。フルーティな味わいのコーヒーが売りのようだ。三度もウェーブが来たことも知らず、波に乗ることもできていない私は、まだ苦いコーヒーが好きだ。むしろ珈琲と書きたくなる。

自宅での珈琲。なんだか「わぁー」って言ってない?

高級なカフェなので、そうそう行けない。とっても近所だが、そうそう行けない。カフェで仕事や勉強、読書をするタイプでもない。自室で独りでいるほうが大いに捗る。周りに人がいると、何を読んでいるのだろう、どんなゲームしているのだろう、会話内容は何だろう、と気が散って仕方がない。ノートパソコンを広げているひとの電源やコードや仕事内容(大体メールしている人が多い)が気になって、自分の活動どころではなくなるのだ。
だからカフェにいるときは自分のことはせず、周りを観察しているのが一番リラックスできると言える。勉強や仕事を人前で行うことを私はしたくない。

サードウェーブなコーヒー。

こちらのカフェは犬と行ける。
中に連れて入っても良いので、寒い季節でも大丈夫だ。
年に二回くらいは休日に訪れる。
その日も朝の散歩ついでにユクを連れてお店に行った。

かわいい黒豆柴を見つけたユク坊。

フレーバーラテというエスプレッソにミルクを混ぜた飲み物をオーダーした。フルーティなコーヒーは苦手だからだ。高級店のクリーミーな泡が有り難みを増してくる。お腹も減っている。ホットサンドも一緒に頼んだ。二人で約四千円となった。モーニングで四千円はすごい。大阪の事務所の下にあった喫茶店のモーニングは二百五十円であった。これはインフレのせいなのか、円安のせいなのか。ただし、さすがに高校生のカップルなど、お店にいない。いろいろと考えさせられる。

ユクの世話のため、映える写真など撮る余裕はない。

物価の体感は、ここ二十年で倍くらい変わった。
牛丼やハンバーガーですら、倍近い感覚がする。
茶店のモーニング十皿分の価格に何の意味を見いだせるのか。
たまには頭の体操をしに行きたいと思う。

午後からはお金のかからない行動が求められる。
テントを持参して海に行くのだ。

海に来た私たち。曇天。

犬にとっては、カフェに行くよりも、海に来たほうが楽しそうだ。
飽きずにずっと周りを眺めて楽しんでいる。
日差しもないのにテントを持っていくのは、縄張りを主張したいユクのためである。
小さなテントを張ると、ユクは真っ先に中に鎮座する。ちょうど重しとなって、テントの四隅を止めやすいので、人間たちはそのユクの行動を利用している。

ユク坊の楽しみ方。つまり番犬したい。

しばらくテントでゆっくりしたが、冬の砂浜はさすがに寒い。
ユクも寒いからか、テントをたたむと素直に家路に就いた。

よってこーぜ!(ちょちょちょ!)

高級ハンバーガーショップに行きたい、と一瞬思ったが、モーニングもランチも高級では散財がすぎる。

人間も素直に家路に就いた。

頼もしい背中。