ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

舵は海へ。

定期的に海の方向へ舵を取ろうとする。
犬の話だ。

ほとんどの場合は、好きな犬の家の方向へ鼻先を向ける。家の周辺をうろうろし、たまに好きな犬に会うことができる。その偶然の確率を上げるために、なるべく好きな子の家の周りをうろうろするのだ。これが人間だと大変なことになる。完全にストーカー行為だからだ。

クン活忙しいだけです。

海、つまり由比ヶ浜まで散歩に出かけると、それは半日とまでは言わないが、三時間から四時間くらいは覚悟しなければならない。平日の忙しいときに、海散歩に付き合ってはいられない。私たち夫婦のあいだで情報交換が行われる。「今朝、海のほうへ向いていたよ」というような具合だ。すると、「ああ、ユクはそろそろ海に行きたいんだな」ということが認識される。

海へ!

週末に、人間たちは相談をする。
今日、海に連れて行くか。
うん、そうしよう。

そろそろ海行きたいなぁ。

ユクは、このような取り決めがなされていることを知らない。巧みにフェイントをかけながら、海のほうへと誘導する。途中でコースを変えられないように、ぐいぐいと引っ張って歩く。制御するのが大変だ。いや、制御しきれていないのかもしれない。

引っ張られるほうも疲れるが、引っ張っているほうも相当体力を使っていると思われる。ユクの口は半開きである。

半開き。

この日は、海からの風が強く、砂浜の砂が私たちに向かって吹きつけてきた。目を開けていられないほどだ。ユクも目が痛いのか、少し砂浜を歩いたら、きびすを返して家のほうへ帰ろうとした。おいおい、今来たところじゃないか。

風で砂丘のようになった由比ヶ浜。

由比ヶ浜へ来た帰りには、クアアイナの楽しみがある。これは人間たちの楽しみのはずだが、犬も率先してクアアイナの階段をのぼっていく。

クアアイナにて。

ハンバーガーを食べながら、ユクが馬鹿走りをしているときに転んだ決定的な瞬間をとらえた動画を見て、私たちは笑っていた。くくく、と笑っている人間たちをよそに、ユクは、ひとかけらでもバンズの部分が欲しくて、真剣なまなざしでこちらを見つめ、賢そうな素振りを見せていた。

ワンバーガーは買いませんでした。