ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ゴールデンウイーク!由比ヶ浜へユクとゆく。テントは移動式縄張り。

ゴールデンウイークだ。
パンデミックもひと段落で良いのではないかという感じが、道行く人々の様子からもうかがえる。今年は季節の歩みが早く、暑くなるのも早いようだ。五月の初旬でももう夏日になるところも出てきている。これだけ暑いと、マスクも外しやすくなってきた。日本社会の雰囲気として、大勢の人たちがマスクをしている中、自分だけが外すことは気が憚られる。信念とかそういう類のことは関係ない。無論、それが良いとか悪いとか、そういう話でもない。

犬で良かったぜ。

日本人には、なし崩し的にマスクを外していくという方法しか、今のところない。もともとマスクを着ける義務もなかったわけだし、社会の空気(暗黙的申し合わせ)でマスクを着けてきた。始まりがそうであった以上、終わりも何となくやっていく他なかろう。

ユクを連れて、由比ヶ浜まで歩いてきた。
マスク着用率は、一割程度か。屋外であるということと、暑さとが相まって、なし崩しは進行しているようだった。誰が最初にマスクを外すかのチキンレースには参加したくないので、このようななし崩しは助かる。大歓迎だ。

由比ヶ浜に着いてアゲアゲの犬。

ユクは砂浜が大好きだ。宮古島出身だからか。海でじゃぶじゃぶ遊ぶわけではないので、あまり関係ないようにも思う。が、とにかく砂浜に着くとユクのテンションが上がる。この日も着いていきなりの馬鹿走りを披露して、周囲から奇異な目を浴びていた。

陽射しが強そうなのと、ハンバーガーを食べるときの鳶対策として、簡易式のテントを持って来ていた。直径五十センチほどの円盤を、バッと広げたらテントが出来あがる。まったく子供の頃の私にしてみれば未来の道具そのものである。当たり前のことだが。

この素晴らしい簡易式のテントを海に来るときには持ってくることが多い。そして、ユクはこのテントが何故か好きだ。誰よりも先に自分が入る。そして満足気に伏せて海を眺め始める。

一番乗りです。

テントにいるときは、他の犬が近付いてくることを警戒しているようだ。カラスや鳩に対しても警戒心を燃やす。この様子を見て気が付いた。ユクはこのテントを縄張りと認識し、懸命にそのエリアを守っているのだ。真剣なのか遊びなのか不明だ。ユクの顔を見ると真面目な顔をしているので、真剣なのだろう。

海が満ちてきて、少しテントを移動させる必要があった。そんなときでもこの簡易式のテントは便利だ。地面に留めているピンを外して、簡単に移動できる。しかし、浜風に煽られて、敷いてあったマットなどが、飛んでいった。幸いにして、親切な女性が拾って持ってきてくださった。私は片手で風に吹かれているテントを持ちながら、もう片方の手でマットを受け取った。ありがとうございます。

早くしなはれ。

さて、ピンでテントを留めようとしたその時、すでにユクはテントの中に座していた。ほぼ空中だ。私たちは笑い転げたが、テントはまだ留められていない。

帰り道。
鎌倉駅前でも、ほれ!これ広げてくれや、という表情をして、マズルで人間に指示を出すユク。ユクがこのテントを好きな理由がはっきりと分かった。どうやらこのテントは移動式の縄張りという認識のようである。