夏風邪をひいた。ご安心あれ、人間の話だ。
若い頃は夏風邪などひかなかった。夏といっても、気温がそれほどまでに高くはならなかったからだろう。摂氏三十度を超えると驚いたものだ。つまり、夏の気温というものは、大体二十五度位のものだった。ギリギリ、エアコンを使わずとも夏を過ごすことができた。夏の思い出はチューペットと扇風機だ。それだけで十分に暑さをしのげた。

今は暑すぎるのだ。暑すぎるが故に、エアコンをつける他ない。つけると、今度は寒すぎるので、結局つけたり消したりすることになる。我ながら間抜けなことをしているなと思うのだが、致し方がない。そしてクーラー病になるクーラー病というのが正式な呼び名かどうかはわからないが、クーラーによって体を冷やすことが体調不良の原因になっている事は間違いないように思われる。

犬はどうだろうか。
あまり暑いとぐったりしているようにも見える。ユクは宮古島出身なので、比較的暑さには強そうに見える。それでもクーラーが効いた部屋にいると、ふっくらした毛布の入ったクレートに入っていることもある。クーラーによる不自然な涼しさは、犬にとって不快なのかもしれない。

風邪をひいて寝込んでいる時、ユクが一緒に寝てくれる。人間から犬に風邪はうつらないから、コロナに感染したときもずっと一緒にいてくれた。種が違うとこういう良い側面がある。夏場の暑いときに毛むくじゃらの犬がくっついているとすこぶる暑苦しい。だが、うれしい。

ところで、妻は私が風邪をひこうが、コロナになろうが、一切うつらない。
種が違うのだろうか。