ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

タキシードだけがドレスアップではない。

ラジオを聞いていた。
ある男性の話し手が、「先日、パーティーに出て、タキシードを着たんだよね」と言った。それを受けて、アメリカ育ちの日系人と思しき女性の話し手が、「いいよね、日本人ってあまりそういうのがないよね。たまにドレスアップして気分を上げるって大事だと思う」というようなことを言っていた。そうだろうか。
たしかにアメリカ人がパーティピープルであることは存じ上げている。が、日本人だってパーティをしないわけではない。茶事や茶会があるではないか。

ドレスアップの意味わかってる?

ただし、タキシードではなく、着物や袴姿で参加をする。これ以上のドレスアップがあるだろうか。しかも立食パーティーやコース料理というようなものではない。茶室で行われる一連のもてなしは、亭主と客、互いの心入れによって完成される、極上の体験である。

「日本人ってあまりそういうのがないよね」というご指摘は誤りである。

付き合ってやるか。

「犬ってあまりそういうのがないよね」なら、正解だろうか。
犬にはハレもケもなさそうだ。その辺りは見習いたくもあるが、ハレやケを意識して生きるところが人間らしくもあって、人生の醍醐味だと思う。

人間の気分に、犬は付き合うことを余儀なくされる。
人間のイベントごとに犬がドレスアップさせられる。ユクの場合、何かを着ることに抵抗はないらしい。他の犬の飼い主にお話をうかがったところ、雨用カッパを買ったのに、着せると一歩も動かなくなる、ということも聞いた。ユクは着せられるままに着る男だ。

完全に人間側の都合でしかないが、お付き合いをしてくれてありがとうよ、ユク坊。

今宵はクリスマスイブである。