ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

毎年、秋になると大阪の方へ通うようになる。大学で非常勤講師をさせてもらって十年以上になる。それだけの期間、往復の新幹線に乗ってきたことになる。一年ひとシーズンに三十回はのるので、三百回以上乗ったことになる。今年は乗車四百回記念にも到達しそうだ。

車窓からごっこ

サラリーマンをしていた頃にも、毎週のように東京と大阪を往復していた時期がある。このときはスーツを着ていたし、ノートパソコンは重たかったし、大変疲れた。パソコンのバッテリーも少なかったので、毎回タイムアタック状態でメールを送ったりしていた。コンセントも各席に付いておらず、お掃除用の電源の付いている一番前の席を取っていた。

UCCと写したい。

それにしても、こんなにも新幹線に乗る人生になるとは思いもしなかった。子どもの頃から乗り物に対して興味が薄く、電車の運転手になりたいという夢など持ったことがなかった。鉄道ファンの気持ちはまったくわからない。
それでも新幹線は何かが違う。何百回と乗った今でも、心躍らせている。関西人の性、新幹線から見える富士山には毎度目を輝かせてしまう。

ちょっと早かった。

新幹線に乗ると、二時間半くらいのまとまった時間を持てる。仕事をすることが多いが、読書に充てることもできる。お弁当を車内で食べられるし、スジャータのアイスクリームを食べることもできる。

自動車の車窓大好きユク坊。

旅行感。これに尽きる。
ドラゴンクエスト世代だからか、いろいろ装備して旅をすることが好きだ。そんなに遠くまで行かなくても、どこででも仕事ができる装備を整えて、動くことが好きなのだ。
バッテリーのことだけでなく、この十年ほどで、あらゆる物が進化した。そのおかげで移動は快適である。

カチンコチンアイスクリーム。

毎週移動するのは楽しいのだが、一つ大きな問題がある。そう、犬を留守番させなければならないことだ。ユクは留守番を上手にしてくれる。家の中で教わったルールは守る。盗み食いはしないし、破壊行為も一切しない。見守りカメラを見ているとひたすら寝ている。人間がいるときのように戯けたりすることもない。

逆にその様子が不憫で、外出先で胸が痛くなる。

見守りカメラで見守られるユク坊。

この文章も新幹線の中で書いている。そんなことをしているものだから、大切なイベント、富士山を見る、ということを逃してしまった。

見守りカメラの角度をミスった日。