一歳半を過ぎたあたりからだろうか。ユクがマーキング行動をしはじめた。九ヶ月齢くらいで家へやって来た後、半年と少しの間は、まったくそのようなことはなかった。
お散歩の最初におしっこをすれば、その後は嗅ぎまわるだけ。ひと様のお家の前や電柱におしっこをひっかけてしまうことを心配することもないし、オスだけどしゃがんで用を足す、品の良い犬だな、と思っていた。
ところが、マーキングしはじめた。
最初は徐々におしっこの回数が増えてきた、という印象だった。最初におしっこを出し切ってしまい、ポーズだけのマーキングをしていることも多かったが、このところは最初に出しきらず、マーキング用に残しておくことも覚えたようだ。
なるべく、同じところでさせない、ひと様のお家の前でさせない、電柱にさせない、などを心がけている。そうは言ってもしてしまうこともあるので、水をかけることも怠らない。いつもお散歩には水を携行しているが、当初あまり使うこともなかったものが、最近では割と消費する。それほどまでにユクがマーキングをするようになったのだ。
本能に基づくもので、何かしらの主張をしたいのであれば、させてやりたい気もするが、迷惑にならない場所に少しだけでお願いしたいものだ。
あろうことか、この春くらいからか、足も上げるようになった。
「どうしてこんな上のほうに匂いを付けることができるのだろうか?」と不思議そうに匂いを嗅いでいたユク。とうとうその方法に気づいてしまったようだ。きっかけは偶然からだ。できる限り壁の方に寄りかかってマーキングをしようとしていたところ、たまたま脚が上がってしまった。「ああ、なるほど、こうすれば良いのか!」と思ったかどうかは知る由もないが、このところ、頻繁に脚を上げてマーキングしている。
妻はこの脚を上げる行為を何とかやめさせたいようだが、私は犬らしくて良いではないか、と思っている。クラウチングスタートのような姿のほうがユクらしくはあったのだが。