ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

決まった場所。座りたい席。

ユクと暮らし始めた頃は、散歩に出ている最中、気が休まらなかった。ユクがどこで用を足すか分からなかったからだ。いまでも少しその気持はあるけれど、大体において決まった場所ですることも判明したので、最初の頃より落ち着いて散歩に出かけることができている。そして催している雰囲気も分かるようになってきたので、ユクをよく観察さえしていれば対処できるようにもなった。

日常の散歩では、いくつかの散歩コースがある。住宅街コース、山道コース、お寺コースなど。それぞれのコースで、マーキングや用足しなど、場所がおおよそ決まっている。なぜそこなのか。それは何か私たちには分からないものなのだろうか。

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お寺コースを闊歩するユク坊。

私は、一年のうちの数ヶ月間、大学で非常勤講師をしている。講義形式の授業で、大講義室に座る百名前後の生徒たちの前で話をする。そこで不思議に感じたことがある。同じ人が同じ席に座っていることが多いのだ。大講義室には何百という席数があり、生徒の座る席は決められていない。それでも何となく、この人はこの辺りの席に、ということが決まっている。その辺りを見ると、いつも同じ顔が見える。

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大学へ行く途中の車窓から。お気に入りの景色。

自分自身を振り返ってみてどうか。電車やバスを利用するとき、確かに座りたい場所のようなものがある。劇場や映画館でも好みの席がある。人間誰しも、落ち着く、もしくは好きな場所のようなものがあるのかもしれない。

ユクが散歩中に立ち寄りたい場所も、そのような本能的に落ち着く何かなのかもしれない。人間も犬も案外変わらないのではないか。

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うたた寝している番犬。

家にいるとき、ユクは窓辺が好きだ。これは外が見晴らせるという点も大きく関わっていると思われる。宅配業者に吠えて困らせていることがあるが、まさか番犬の役を買って出ているわけではなかろう。