ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

縄張り意識が芽生えた犬。

ユクがうちへ来て、二年が経とうとしている。
最初の一年目より、この二年目のほうが早かった、と感じる。人生の体感が加速するように、ユクとの暮らしも加速しているのだろうか。犬の一生は人よりも短い。だからこそ、ユクとの一日を時間を大切にしたい、と日々真剣に犬と向き合っている。

甘えん坊モードのユク坊。

真剣に向き合っている、というより、真剣に甘やかしている、という表現のほうが適切だろう。ユクは家の中ではとても甘やかされている。私はそれで良いと思っている。外では厳しく、行動にも制限を付けるが、うちでは思いっきり自由にさせてやりたい。楽しい毎日を送ってもらいたい。お留守番は最小限にしてやりたい。玩具を持ってきたなら、手を止めて遊んでやりたい。実際になるべくそのようにしている。

これ好きだろ?遊ぼうぜ!

ユクは、お散歩に出かけて、匂いを嗅ぎ回ることが大好きだ。これは一年目から変わらないことだ。オスはマーキングをするものだ、ということは知っていたが、ユクはこれをまったくしなかった。どなたかのお家の前などでマーキングしてしまうのはよくないので、マーキングをしない犬は助かるな、と思っていた。が、二年目も半ば。ユクがマーキングをし始めた。この土地への縄張り意識でも芽生えたのだろうか。観察していると、遠くへお散歩へ来た際は、あまりマーキングしないようだ。近所やいつもの散歩道では、よくマーキングしている。

トロールおつかれさまです!

二年も経てば、近所でよくお会いする犬たちとも、「知った仲」という感じになってきた。犬も人間も。犬同士も軽く挨拶を交わしたら、各々で辺りを嗅ぎ回って、のどかなものである。
臆病なユクは、初めてお会いする犬たちには、いまでも唸りながら近づいてしまうことが多い。それでも相手の犬が優しく、よしよし、としっぽを振って待ってくれたりすると、なんとかご挨拶までたどり着くことができる。大変ありがたいことだ。

観光でお見えの犬たちと近所で会う場合、ユクは唸る確率が高いようだ。これは犬だけではなく、ハイキング客相手にも発動してしまう。リードを握る私たちにも、ユクの警戒心は伝わってくるので、なるべくリードを短くして、制止する努力をする。が、この場合の制止は、ほとんど効かない。どうしても唸ってしまうのだ。

こいつ、でかいぞ。

縄張り意識というのは、ここは私たちの地だ、という心の表れであろう。
遠く宮古島から連れて来られ、鎌倉の地で地元意識を持ってくれているのはうれしい。飼い主の私たちとしては、他の人や犬たちに迷惑をかけぬよう、リードをしっかり握り、ユクの地域への溶け込みを見守っていきたい。そういう私も関西人であり、数年前に鎌倉へ越してきたばかりである。犬に助けられて、地域と交わっている。