ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

一匹として同じ犬はいない。

同じ犬種でもまったく性格が違う。性格の傾向というものは存在するようだが、そういうものはあまり当てにならないだろう。人間において考えてみても同じことが言える。誰ひとりとして、同じ人間はいない。似たところを見つけることは容易だが、まったく同じ性格の人間はいない。「日本人ってこういう行動しがちだよね」というようなことに至っては、環境や後天的なものの影響が計り知れず、性格云々とはまた別の話だ。

帰りたくない、と駄々をこねがちな犬。

私の経験だけでも、様々な性格のミニチュアシュナウザー、柴犬、フレンチブルドッグ、レトリーバーなどに出会ってきた。同じ犬種で風貌が似ていたとしても、皆まったく違う。それでも(おそらく)抽象化して、犬種、個体を問わずトレーニングできるドッグトレーナーの方々は一体犬たちをどのように捉えられているのか。
私はユクをしつけることしか経験がないので、ユクが他の犬と比較してどうなのか、ということを正確に言うことはできない。なんとなく、ユクはとても従順で、食べることが大好きで、おやつをちらつかせればしつけ易い犬ではないか、と感じている。

おやつ大好き。

性格をグループ化したい、という欲求は人間特有のものだ。「あなたはこういうタイプです」と決めたほうが、都合が良いものと思われる。「私はこういうタイプなので」と自分で決めてしまうケースもよく見られる。

犬たちの様子を観察していると、個々の相手のことを匂いや風貌、振る舞いなどで、瞬時に判断し、友好的に行くか敵対するかを決めているように見受けられる。少し離れていても、自分より年下の犬であることを見抜くユクの行動から、匂いで年齢を確認できているのではないか、と思う。同じ犬種でも仲良くできる相手とできない相手がある。したがって犬種分けして付き合い方を決定しているわけではない。

はながききます。

犬を連れている側からすれば、皆と仲良くやってくれ、とも思うが、そういう訳にはいかぬ何かがあるのだろう。いずれそこは分かってやりたい。

そう考えてみると、一つ分かった。
グループ化、種類分けをして、差別することはいけない。これは今の世界が目指している人間のあり方であろう。差別をなくし、個性を尊重しよう、という姿勢だ。だがそれと、「皆で仲良くしましょう」ということはまた別の話だ。

付き合いたくないやつもいるのよ。

あいつのことは尊重している、が、嫌いである。
ということを感じても罪に思う必要はまったくない。
犬も亀もそのように生きている。そこは見習いたい。

ただ人間は、彼らのように付き合いを回避して生きることが少し難しい。