ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ショッピングカートに乗った犬。

ショッピングカートに小さな椅子が付いていて、それに子供を乗せるようになっているものは昔からある。自我が芽生え、乗りたいな、と思える年齢になったときにはショッピングカートになど座らせてもらえず、残念に思った。座った記憶はないが、あそこへ座らせてもらったことは、きっとあるのだろう。

近所のショッピングセンターには、「ペット専用カート」というものが存在する。犬を飼う前から、カートに犬がお利口に乗って、フロアを移動している様子を見てきた。実際にユクが来てからは、連れて行ったことがなかった。バッグにも入らないし、クレートに入ってくれるようになったのも、買ってしばらくしてからだった。あのようなカートに乗せたところで、暴れて飛び降りるに違いないからだ。

今日は車でショッピングセンターに行く。晴れて天気も良い。犬を置いていくには忍びない。しかし、ショッピングカートに乗れない犬は置いていかざるを得ない。「何事も経験。やってみなければ分からない」と妻が言った。ドライブが好きなユクだ。カートに乗れなくても、せめて車には乗せてやりたい。その「何事も経験」という言葉に後押しされて、ユクを連れてショッピングセンターにやってきた。

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震えながらもショッピングカートに乗ったユク坊。

「ペット専用カート」に抱っこしてユクを乗せる。想像していた通り、暴れて飛び降りた。もう一度乗せる。やはり降りようとしたが、「降りちゃいけないよ」と言って、ユクをなだめた。ユクは震えている。犬はこれに乗ることになっていて、乗っていないとフロアを移動できないのだよ、などと言葉で説明することもできない(試みたが)。理由も分からずカートに乗せられた犬の足は小刻みに震えている。怖いからか寒いからか。

f:id:oven9:20211220151220p:plainいざ、フロアへ転がしていく。都度、段差にビクつくユクだが、何とか飛び降りずに堪えている。ショッピングセンターにユクと入れた喜びで溢れた。とても新鮮な光景だ。しかし、ショッピングどころではなかった。ショッピングは妻に任せて、ひたすらユクとカートで移動する。これはアトラクションなのだよ、と言い聞かせるも、きっとそんな風には理解していないだろうことは見て取れる。次に何が起こるのか、そのことが不安でならないのだ。

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何度もあくびが出てしまうユク坊。

カートに乗っても無事家に帰って来られる、ということを繰り返せば、カートを好きになる日が来るかも知れない。何より、ユクに対する私たちの行いに、何も恐れることはない、ということを学習してもらわねばならない。

走り回ったわけではないが、犬は大変疲れたようだった。
ユクには絶対に無理、と決めつけていた。「何事も経験」は人間のほうにこそかかっていた言葉であった。

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おつかれさまでした。