ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬と寝る計画のその後。ルール無用の人と犬。

犬の行動範囲を徐々に拡げることによって、最終的に一緒のベッドで寝るというところまでたどり着いた。それはおおよそ一年間をかけて達成された。

ユクがうちへ来てからの約一年間は、リビングを犬の行動範囲の限界としていた。当初、夜はリビングにあるケージで、扉を閉めて寝てもらっていた。その後、夜もお留守番のときもケージに鍵をせず、自由にリビングを歩けるようにした。ユクはお留守番のときなど、いたずらをしない犬だ。人が見ているときにこそ、やる。ユクにとって、いたずらは人から注目を得るためのツールなのだ。

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いたずら中のユク坊。妻のサンダルは緒がなくなった!

ユクの迎え入れから一年が経ち、二階を解禁、二階の寝室で一緒に寝るところまできた。

これは人間側の勝手な都合であるが、二週間に一度のシャンプーが済んだ夜だけ、人間のベッドにのぼってきて良い、ということにしている。ただし、心配していたとおり、犬にはそのような都合の良いルールは通用しない。一緒に寝た翌日も、ベッドに入りたい、となる。今日は駄目なんだよ、と言うと、不思議そうな顔をしながらも、人間のベッド脇のユク用ベッドに収まる。

ところが、少し明るくなる午前四時半頃、ユクが起きて、ぶるぶると身体を振って大きな音を立て、ヒョイと人間のベッドを覗き込んでくる。気配を感じて、寝たまま横を向くと、起きてる?といった感じで目を丸くしたユクと目が合う。可愛い、と思ったことが見透かされたように、ベッドに跳び乗ってくる。ベッドの端のほうで、丸くなって、叱られないか様子をうかがっている雰囲気である。まあ良いか、とそのままにしておくと、調子に乗ってくる。結局、最後には掛布団の上で長くなって寝ている。ルール無用だ。

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丸くなって寝るユク坊

シャンプーのあとは人間のベッドに入っても良い、というような複雑な条件は、犬には理解不能だと思っていたが、実はそうでもなかった。先日のシャンプー後に、早く二階へ行こう、とリビングの扉の前でユクが要求した。ユクはそういうとき吠えたりはしないので、扉と私たちの顔を交互に見ることで意思を伝える。外に出たいとき、おやつが欲しいときも同様のことをする。顎で指図をしているように見えなくもない。

まだ、寝るには早かったが、妻が、ベッドに連れていってあげたら、と言うので、扉を開けてやった。猛烈な速度で階段を駆け上がり、二階の踊り場で待つユク。寝室を開けてやると、一片の迷いもなく人間のベッドに飛び乗り、マズルを擦り付けたり、ひっくり返ってのたうち回ったりして、喜びを表現していた。そんなに嬉しいのか。毎日、乗せてやれないのが申し訳なくなる。

 
 
 
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さて、翌日。
就寝時刻となり、二階へ上がると、しばらくしてユクもやって来た。昨晩のように先導しない。今日はベッドにのぼれないことが解っているのだ。のぼっても良いでしょうか、という顔を少しはしたかもしれないが、素直にユク用のベッドで丸まった。良い子過ぎてつらい。

朝方、四時ごろに目が覚めた。ユクのほうを見てみると、すやすやと寝ていた。寝息も聞こえないので、手で触ってみると、ゆっくりと身体が動いていて、呼吸を感じられた。穏やかに寝ている。四時半になったけど、覗いて来ず、やきもきする。ユクに起こされることを迷惑がっていたのに、期待しているようで可笑しい。

午前五時となり、ユクが起き上がり、伸びやぶるぶるをし始めた。
私は息を潜めて、まどろんでいた。やがてふと、背中に温もりを感じた。
ユクが私の背中にくっついて丸くなっていた。

ルール無用。なし崩しとはこのことか。