ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

二階解禁。犬の行動可能範囲を広げた。

ユクの脚が良くないこともあり、二階へ上がることを禁止してきた。滑りやすい木製の階段なので、慌て者のユクはきっと階段落ちしてしまう。

犬と人がずっと一緒にいるのは良くない、という見解も意識してきた。犬が飼い主に依存してしまい、お留守番などを上手にできなくなるかもしれないということだ。私は自宅で仕事をしているので、24時間犬と一緒にいることも可能だ。だが、先の見解からそのようにはしていない。

ユクが来て一年、朝の散歩の後はユクを一階において、仕事のために二階へ上がる。私がお昼を食べに降りてくるまで、ユクは一階でゆっくり寝ている。お昼はご飯を食べたり、寝そべったり、引っ張りっこ遊びをしたりして、一緒に過ごす。座っていて、膝にあごをのせられると、二階へ戻りたくなくなるが、ごめんね、と言って二階へ戻る。やがて、夕方になると一緒に散歩へ出かける。一時間ほどして帰ってきて、私はまた少し仕事をするため二階へとゆく。

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リビングでくつろぐユク坊

そのようなペースで、人と犬は独りで過ごす時間をそれぞれに持っている。

 

ある日、妻が階段に滑り止めのシートを貼った。もちろんユクのためだ。いよいよユクを二階へ、ということか。一年間も禁止されていた二階へ、果たしてユクはすんなり上がるのだろうか。

「ユク、おいで!」と呼びかけても、やはり来ない。ユクはとても慎重な犬だ。妻がユクを抱っこして二階へ連れてきた。まずは二階を知ってもらおうという考えだ。私の仕事部屋にも初めてユクを招き入れた。うちへやって来た当初のように、見回し、辺りを嗅ぎはじめた。少し落ち着かない様子だった。

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私の部屋に見参したユク坊

二階を案内したついでに、その日は二階の寝室で一緒に寝ようと、いつもは一階のリビングに置いてある、ユク用のマットとベッドを私たちの寝室に持ってきた。ずっと離れて寝ていたけど、今日はこんなに側で眠れるぞ、ユク坊。

 

予想できたことではあるが、安眠にはほど遠かった。途中、ユクが起き上がり、ブルブルをしたり、寝室を徘徊してみたり、やはり落ち着かない感じだった。その都度こちらも目を覚ますこととなり、良い睡眠とは言えなかった。朝方、私たちのベッドのほうへ上がってきた。これだよこれ!と言わんばかりに満足そうなユク。人間用ベッドの上で丸くなったユクとしばらく一緒に寝た。寝不足だったし、気持ちよかった。だが、寝る場所は別のほうが、犬にも人にも良さそうだ、と感じたので、同じ床で眠るのは月に二度ほどにしようと考えている。

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怒られるかも知れないけど、気に入ってしまったので賭けに出たユク坊

行動範囲の広くなったユクは、仕事部屋へも時折付いてくるようになった。配送業者がドアホンを鳴らすと、横で寝ていたユクもハッと目を覚まし、立ち上がる。私も配達の方を待たせてはいけない、と階段を駆け下りる。ユクもそれに追従する。追従どころか、階段を降りきる頃には私の前にいる。

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仕事している横で寝そべるユク坊

無事、荷物を受け取って、仕事場へ戻るため階段を上がる。トコトコトコ、と後ろを着いてくる。トコトコトコ、と10キロの犬の四本脚が繰り出す軽やかな音が響く。

 

いまのところ困惑しているのは、二階から一階へ降りたあと、何故か一階でユクのテンションが上がることだ。よっしゃー、一階に降りて来たったぞ!とはしゃぐのだ。

観察を続けたい。

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仕事中こうなることも致し方ない。