ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬と暮らす?

「あーワンちゃん欲しいなぁ」が、妻の口ぐせだった。

その口ぐせにゆるやかに乗っかるような形で、犬探しが始まった。飼うなら保護犬を、ということは最初から決まっていた。くわしくは知らないが、ペットショップで買うよりも保護された犬の面倒をみることのほうが何となく良い気がしていた。

 

ネットで妻が見つけた保護犬の譲渡会というものに行ってみた。押し合いへし合いの結構な盛況ぶりで、お目当ての犬を抱っこすることすらできない感じだった。結局その日は雰囲気を感じるだけで終わった。ペットショップでなら、すぐにでも抱っこさせてもらえそうだし、いろいろ簡単そうに思えた。保護犬を迎えるのもなかなか大変なんだな。 

 

ある日、妻が別の保護犬の情報をネットで見つけてきた。今度は譲渡会ではなく、保護犬の預かりボランティアをされている方の家に出向いて、目当ての犬に会いに行くというお見合い方法だった。その犬は宮古島で保護されたオスの犬で、おおよそ生後7ヶ月から8ヶ月とのことだった。

 

ボランティアの方の家に着くと、会いに行った犬はケージの中に引っ込んでいた。犬といえばしっぽをフリフリやってくるものだと思いこんでいたけれど、全然違う。ボランティアの方に引きずり出されるような形でなんとか面会できたけど、犬も人もとても緊張していた。最後に、私たちが住んでいる家の大家さんに飼育の許可を得るため、記念撮影をした。パチリ。

 犬が家にいる生活とはどのようなものか。まったく想像もつかない。

トライアルまでにケージや首輪やドッグフードを用意して、犬を待つ。そして、来る前に名前も決めた。

「ユク」

妻が命名した。
アイヌ語で鹿という意味だそうだ。