ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

明月谷から天園ハイキングコースを経て、覚園寺へ。

明月谷という住所がある。
明月院の前の坂をさらに上ったところだ。
とても格好良い住所だ、と思う。

この辺りは、雨の時などにぐるりとまわるくらいで、いつもの散歩コースではない。ただ、その日の目的地は覚園寺であったので、そこまでどのルートで行くか、ということが相談された結果、明月谷の天園ハイキングコース入口から山に入ることになった。

明月谷にあるハイキングコースの案内板。

山に入ると、犬の目が変わる。
匂いの宝庫なのだろう。
目的地はまだ先だというのに、ユクの歩が進まない。それどころか、少し戻って匂いを確認するということまでするので、まさに三歩進んで二歩下がるという状態である。

目の色は見えませんが、変わってます。

途中、高台でユクの撮影会も始まる。これは飼い主側の理由であるが、なかなか進まない。撮影が終わると、撮影料の要求を犬がしてくる。スマートフォンのシャッター音が何回か鳴らされるとおやつがもらえるということを学習しているのだ。

撮影会の様子。報酬のためにポーズを取るユク坊。

時間はかかったが、無事覚園寺に着いた。
お正月は拝観料がなく、北条義時が建立したというお堂も無料でお参りさせていただける。

覚園寺前にて。

義時と言えば、白い犬の伝説が有名だ。鶴岡八幡宮で白い犬を見たあと、気分が悪くなり、実朝に伴って歩く太刀持ちの役を交代してもらったところ、例の暗殺があり、実朝と代わりを務めた源仲章は亡くなってしまった。その白い犬は戌神の化身で、義時を救ったのだ、と吾妻鏡にある。

薬師如来を信仰していた義時が薬師堂を建立、そのお堂を前身とするのが、この覚園寺なのだ。

仲間感ある。

犬の神様に助けてもらったことが始まりとあれば、犬にも優しいのもうなずける。
犬もお堂の前まで連れて行ってよい、とのことだった。お堂の中には連れて行けないが、夫婦で交代でお堂の中にお参りさせていただいた。

素晴らしい仏像だと思う。
関西人として、奈良や京都の仏像を沢山観てきた。正直、関東で仏像を見て、感動したことは少ない。何かが違う。何が違うのか、と問われると明確に言えないが、違う。

こちらのお堂の薬師如来、日光月光菩薩の脇侍、十二神将像は奈良や京都の雰囲気を感じた。なぜだろうか。

どこから飛び出してくるのか。

いつもまったく落ち着きのないユクが、お堂の前で大人しくお座りをして待っている。戌神様のお力だろうか。住職さんにも「吠えもせず、お利口に待つ犬ですね」とお褒めの言葉を頂戴した。「たまたまなのです」と本当のことを申し上げた。

白い犬が描かれた御守り。

出口でお礼を申し上げたところ、「戌神様御守」が目に留まった。白い犬が御守りに描かれている。これは縁を感じざるを得ない。ユクも大人しくしていたので、なにかユクにとっても良いことがあるかもしれない。戌神様の素晴らしさを体感してしまった私は御守りを買って帰ることにした。

頭の上に犬を乗せている神将って良くありませんか?