年末年始、晴れた日が多かった。
年始、久しぶりに雨が降った。1日中というわけではないが、午後はずっと降っていて、しっとりとした北鎌倉となった。梅雨の時期は雨が多いので天気予報サイトの雨雲レーダーを頻繁に見て、犬を散歩に連れ出す時間帯を探っている。今回は雨のことなどすっかり忘れていたところへの雨降りということで、面食らった。
午後二時をまわると大体二階の仕事場にユクが上がってきて、下に降りてこい、と言う。こういうときユクは吠えてお知らせする犬ではないので、実際には言うのではなくて、鼻で人間の腿を突いたり、フローリングに爪を立てて音を鳴らす。我が家ではそれをタップダンスと読んでいる。吠えれば早いものを、タップダンスしたり、お利口そうに座ってこちらを見つめ続けたり、ブルブルすることで首輪の名札を鳴らしたり、と音を立てる術を様々繰り出す。
そのユクが今日は来ない。
三時を過ぎて、こちらから降りていくと、ユクは犬のふわふわベッドで丸くなって寝ていた。散歩に行く気がないのが明らかだ。一階で仕事をしていた妻に聞くと、さきほど窓を開けて一緒に雨の様子を確認した、とのことだった。
ホットヤギミルクを作ってやっても、いまいち反応がよくない。
いつもなら作っている最中からお座りをしてこちらを凝視しているのだが、丸くなったままだ。
呼ぶと渋々立ち上がり、犬のポーズでストレッチをした。
活気のない歩でミルクの器までやってきた。
飲み終わると、またベッドで丸くなる。
さぁ、散歩行くよ!
と声をかけたものの、本気で言ってるのですか、という顔でこちらを見てくる。
ユクのために行くのだよ。
なんとか玄関までやってきたユクにレインコートを着せる。
いつまでも犬のテンションは低い。
私も雨合羽を着て、玄関に戻った。
すると、テンションが最低値となった犬が目に入った。
この日の散歩は二分で終了。
小さい方だけ済ませて、どうしても行きたくないです、という犬を連れて帰ってきた。