文化の日だから文化的なことをしよう。
と思う。文化的なことって、何となく肉体的なことではなく頭を使うことのように感じる。これは理系や文系と言い分けることに由来する気がする。運動系クラブと文化系クラブと言い分けたりもする。だから文化的と言えば、頭を使うことのように思われるのだ。
頭を使わないスポーツはないだろう。
実際には身体を動かしながら頭もフル回転させている。だからスポーツも文化的だ。
文化の日は、日本国憲法の公布された日に、「文化をすすめる」日として制定されたそうだ。またその日は、明治天皇の誕生日でもある。すすめるものなのか。
集団の雰囲気や風習のようなものを表すものとして「文化」という言葉が定義されていると思っていたのだが、「すすめる」ということになると少し意味合いが変わってくる。
「文明開化」という言葉があるが、それのニュアンスに近い。文明開化をすすめる、ということであれば文章としてしっくりくる。
はたして文化の日は文明開化の日なのだろうか。
「文化」という言葉自体、日本語として使われ始めたのは明治以降だそうだ。つまり、鎖国が解け外国の文明を取り入れようとして以降のことなのだ。江戸時代、いわゆる日本文化は熟成された。二百五十年ほど、平和な時代が続いたからだ。しかし、江戸時代に生きた人たちは、自分たちの行っていることが「文化的」などと思っていない。文化という言葉がなかった。
外国から文明が入ってきて、あるいは文化が入ってきて、ようやく自分たちの行っていた伝統的な活動や芸術、学問も「文化」だということに改めて定めたのではないか。
文明開化によって自分たちの「文化」に気付いた。そして、文明開化と芸術、学問がごちゃまぜになった、新しい定義の「文化」という言葉も生まれたのだろう。
「和食」という言葉も明治以降に使われ始めたし、「和菓子」という言葉に至っては昭和からだ。もちろん、洋食や洋菓子と区別するために生まれた言葉である。
「保護犬」なんて、いつから言われるようになったんだろう。