ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ファミコンゲーム大会。二人でも大会。

柔術で知り合った友人が、老後の楽しみにファミコンソフトを集めている、と言う。
オークションサイトなどで、ファミコンソフトは今でも安価でしかも大量に手に入る。私も二十年ほど前に突然「忍者くん」というゲームをもう一度プレイしてみたくなり、ファミコンソフトを数百円で落札し、サードパーティ製のハードウエアも別途購入し、遊んだことがある。無論、すぐに飽きて、その後遊んでいない。

過日。
その友人の家に遊びに行った。ファミコン大会をするために、である。ファミコンは友達と一緒に遊ぶと、一人でやるより数倍楽しい。それは経験的に知っている。一人プレイのゲームでも、友達が横で観ていてくれると楽しい。そんなものだ。ふたりで開いても「大会」と呼ぶのは小学生のころから変わらない。

駅で待ち合わせののち、駅前にそびえ立つ、立派な新築マンションに案内された。さっそうと自動ドアを通過していく。入口で番号とか押さなくて良いのか、という私の質問に対して、パンパン、とポケットを叩いて、タッチレスのキーで開けることが出来ていることを教えてくれた。これなら犬を抱っこしたまま扉を開けることが出来て便利だな、と思った。

抱っこされる犬の肖像。w/ネッククーラー

エスカレーターのロビーは少し照明が暗めだ。ホテルにいるかのような気分を覚える。部屋でも猫が出迎えてくれた。眼をまんまるくして、明らかに驚いている。今日はファミコンもさることながら、こちらの猫と仲良くしてもらうことも目的の一つだった。

コーヒーなどを飲み、しばしの歓談ののち、「ファミコン部屋」に通された。ガシャっとファミコンのソフトが目の前に広げられる。友人からソフトの説明が始まった。これは何千円する、これは箱があれば数万円……。なに!数百円のクソゲーをむやみに集めているだけではなかったのか!本気のコレクターではないか。
世の中にはいろいろなコレクションがあり、コレクターがいる。いまやファミコンもそういう類のものなのだ。

コレクションの一部。

なんでもスーパーファミコンが発売された時期に発売されたファミコン用ソフトが、当時人気がなく、あまり売れなかったため、出回っている数が少なく、希少価値が生まれているそうだ。理屈はわかるが、せっせと値上がりを期待して古いハードウエア用のゲームを、当時買う気にはなれないのが普通の人の心だろう。

四十年ぶりくらいに遊んだゲーム。自分でも驚くほど、上手く出来ない。子供の頃、大人ってゲーム下手だな、と思っていたけど、自分がその下手な大人になっていた。あんなに簡単にクリア出来ていたものが毎回同じところでゲームオーバーしてしまう。学習能力と反射能力ががっかりするほどに低い。
ご老人が何でもないところで躓いた話などをされているが、まもなく私にもそのような事態が起こるのだ。一歩一歩をしっかり踏みしめていきたい。お相撲さんのようなコメントになってしまった。

一日一番、それだけです。

犬と暮らしているので、動物との接し方は心得ている。「わー猫ちゃん可愛いね!」などと大声を上げて両手を広げて近づいていくと嫌われる確率が高いと思う。優しく声をかけながらも近づいたりはせず、向こうから近づいてきてくれるのを待つ、という作戦で行った。
作戦は成功した。私に犬の匂いが付いているのだろうか。クンクンと匂いに来てくれた。もちろん、こちらからは積極的に触りにいかない。本当は触りに行きたいが、ぐっと我慢である。

興味津々!

左手の親指が十字キーの押し過ぎで痛くなり、お暇しようか、というころには、猫は私のそばで落ち着くほどになった。そして、帰るよ、というときには、なんと私の足に頭や体をスリスリしてくれた。

帰宅してユクに、猫の匂いがするか、と尋ねてみたが、特に変わった反応はなかった。

匂いを整えておくね。