ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ドライフードの試食に連れて行かれた犬。

何の問題もなく食べていたドライフードを食べなくなった。正確に言うと、お腹が空けば食べている。だから、選り好んでいるということだ。味を変えたり、メーカーを変えたり、これまでもしたことはある。同じものばかり食べていては飽きるだろうし、体にも良くなさそうだ。
フードを変えるとお腹を壊したりして、デリケートな側面も見せる。飼い主とそっくりだ。私もすぐにお腹を壊す。

ぼく、デリケートなんです。

ともあれ、味の好み、嗜好によるものなら、本人が喜んで食べるものならよかろう、ということで、試食のできるペットショップへ、ユクは連れて行かれた。
少し遠いので車で行く。
準備をしていると、ユクはドライブの予感からかそわそわし始めた。「ドライブ」という言葉は覚えないが、ドライブの雰囲気をつかむことには長けている。

どこかへ行くためではない。乗るために車はあるのだ!

今回も喜んで乗り込んだ。
車に乗ることそのものが好きなので、行き先がどこであるか、ということなどまったく関係がない様子だ。車に乗ると病院に連れて行かれることが多いのに、決して車に乗ることを嫌がる気配はない。

ペットショップ、と言っても犬や猫を販売しているところではない。フードやグッズを売っているところである。それでも店内にはあらゆる犬の匂いが残っているのか、ユクはとても真剣な顔つきで嗅ぎまわっている。

いろんなやつの匂いがするぞ。

妻が店員さんにフードのことを聞いている間、私はユクを連れて店内をぐるりと回った。初めてではない。何度かユクも来ているお店だ。
ひと通り歩いてユクが落ち着いたかな、という頃に、妻と店員さんがお話をしているところへ近づいて行った。

グァンワン!
吠えた。いつものようなおっさん声で。
おいおい、どちらかといえばお店の人たちの縄張りに俺たちが侵入しているんだぜ、ユク坊。
どこでも番犬くせがここでも発動してしまった。

欲しいのはそれじゃない。

吠えたくらいなので、随分と警戒心を強めているようだ。
さて、試食させようとしたが、匂いだけ嗅いでそっぽを向く。完全に警戒モード。変な薬でも混ざってるんじゃないの?みたいな顔をしている。そして、車のほうへ引いていく。試食などどうでも良いのだ。

結局試食せずにいくらか購入して帰ってきた。

印象だけが悪くなったフードを食べてもらえるかどうか。

どーかなー。