一人で暮らしていた時には、お肉を買ってきて料理を作るということをしたことがなかった。温めるだけの物を食べるか、外で食事を済ますか、といった感じだ。そもそも料理らしい料理ができなかったから、というのが大きいが。
結婚してから、料理をするようになった。インターネットでレシピを調べられる時代だから何とかそれらしくできる。インターネットがなければ、もっと母親の手伝いをしておけばよかったなどと悔やむだけだった。
お肉をスーパーで買うようになって、牛肉が高級品であることを知った。本当に常識のない馬鹿息子だと、自分でも思う。
中学生のときのお弁当に牛肉が入っていない日があるから、毎日入れてくれ、と母親にお願いしたことがある。そんなものは高いから毎日は入れられない、などと言われずに育った。そうして牛肉が高級であることを知らない人間が出来上がったのだ。馬鹿息子誕生。
高級であることを知った今では、豚バラ肉を手に取ることが多い。豚バラ肉二〇〇グラムがあれば、晩ご飯は何とかなる。オイスターソース炒めが多いが、飽きない味である。
お肉を買うようになって、二〇〇グラムの重さをイメージできるようになった。五〇〇グラムも何となく分かる。ノートパソコンが一キログラム強。重さの感覚が身に付いた。
ユクは、十キログラムくらいが適正だと、妻が言う。保護されたときには後ろ脚に骨折の跡があり、びっこを引くような仕草もあった。が、うちに来てからは徐々に体力を付け、遠くまで歩けるようになった。
脚に負担をかけないためにも、体重は軽いほうが良く、それが十キロくらいという見立てなのだろう。
ユクを抱っこして体重計にのる。
自分だけでのった体重を差し引いて、ユクの体重を算出する。十一キログラムあった。十パーセントも増量している。六十キログラムの人間が六十六キログラムになるようなものだ。
食事が多いのか、おやつを食べ過ぎているのか。ユクを触るとムチムチしているような気がしなくもない。たかが一キロだが豚バラ肉二〇〇グラムのバックで五枚ほどだ。
いまいち実感できない。
あ、ノートパソコン一枚分だ。
重たい!ダイエットだな、ユク坊。
最近ジャンプしないのは、増量が原因だったのか?