ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

カマキリの手。

犬は力で人間を支配しない。
出来なくはないと思うが、ほとんどの犬はそういう力づくの方法ではなく、心をつかむことで人間を支配する。

上目遣いで仕事を終わらせようとするユク坊。

上目遣いを上手に行う。ついつい、困ってるの?何か欲しいの?とこちらが動かされてしまう。オオカミを先祖に持つ犬族は、このようなテクニックを身につけることで、オオカミの流れからは分岐して、人と暮らす術を獲得してきたのだ。人たらしのプロ。

犬に支配されている人間は多いと思う。かく言う私もその一人だ。

支配。

それにしてもなぜ、人間が可愛いと感じてしまう仕草をできてしまうのか。可哀想しかり。犬がそのような概念を理解しているとは信じ難い。が、分かっているとしか思えない。

腹を上に向けてひっくり返る仕草を、世の中では「へそ天」と呼んでいる。犬の本などを読むと、それは服従を意味する、と書かれているし、そのようなことは犬を飼う前から何とはなく知っていた。

へそ天するユク坊。

服従。そうだろうか。
くしゃみが聞こえる。くしゃみの音がした方を見やると、へそ天をしている犬がいる。ユクがへそ天を見て欲しくてくしゃみしたのだ。そんなことがあるわけないとお思いだろうが、そんなことがあるのです。
くしゃみをして知らせて来たユクのほうを見ると、ユクと目が合う。見てくれてるかな、という目をしている。

見てくれてる?

可愛いので撫でに行ってしまう。かまって欲しいとき、へそ天すれば人間はやって来る、ということを学習して実践しているのだ。

完全に支配されていると言えよう。

見てくれてる?

それにしてもなぜ、カマキリのような手の形を作ると可愛く見えると分かっているのだろうか。