ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

怖いアイツの居ない隙に。犬の学習。

妻から報告があった。
「あなたが二階に上がっていったら、寝ていたユクが起き上がってきて、要求しにくる」と言う。「ほれ、アレくれ!おやつや!」という感じで要求してくるそうだ。本当だとしたら賢い。いや、本当なのだ。ただの賢さではなく、「ズル」が付くものであるが、なかなかやるではないか。
さらに、私が二階から下りてくる足音が聞こえると、それを止めて、ベッドに戻るそうだ。

何かありました?

私の見ているところで、要求をすることはいけないことだと分かっている。分かったうえで、居ないところを狙っているということだ。幼稚園児くらいのずる賢さは持ち合わせているようだ。

妻はユクの悲劇的な姿に弱い。たとえば、クレートに入り込んで上目遣いで人間をうらめしそうに見る姿などだ。妻が台所に立つと、ユクはわざと妻から見える場所へ移動して、大げさに音を立てて倒れ込む。バタッという音のほうを見やると、可哀想な犬が横たわっている。「ご飯足らなかったの?」と言って、妻がユクに優しく話しかける。そこでおやつをもらえたりするので、このことを学習して、また悲劇的な演技を繰り返す。

可哀想な犬を演じて台所を見るユク坊。

ユクは、何かが出来た報酬としておやつを与えていたものを逆手に取ってくる。散歩中に撮影のために、オスワリが出来たらおやつ、としていたら、スマホのシャッター音を合図におやつをくれ、という顔になる。もってこい遊びをしているときもそうだ。自分で玩具を持ってきて、投げてくれ、という感じでスタンバイする。何回かもってこいが終わると、台所の方を見てオスワリをする。

ほれ、アレくれ!

何かと逆手に取って、ずる賢さを発揮した学習をしている。
半ば呆れるが、感心する。

妻に、ユクの目の前で私に報告してみてはどうか、と提案したが、ユクとの信頼関係が崩れるので、それはしないそうだ。

妻はユクにたいへん優しい。