ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ユクとブレイキン!

今回のパリオリンピックでの楽しみのひとつが新競技ブレイキンの観戦だった。次のロスオリンピックでは、発祥国であるにも関わらず、ブレイキンは採用されないとのこと。もしかしたら、最初で最後のオリンピックでのブレイキンかもしれない。

四十年ほど前、中学生だった私はブレイクダンスに興味を持った。手本は風見慎吾さんの「涙のTake a chance」だけだった。インターネットもYouTubeもない世界で、見様見真似で何かをやってみても、それが正解なのかどうかさっぱり分からない。夜な夜なビルのガラスの前に集まって自分たちの姿を映しながら練習するような連中も神戸の片田舎にはいなかった。わたし独りである。
そんなことで、いま思えばそこそこ出来ていたのではないかと自負するのだが、なにせ独りである。判断がつかなかった。

こーゆーのはひとりのほうがいいけどね。

ブレイキンに使用されているブレイクビーツも好きなサウンドだった。ブレイクビーツの何たるかは、もちろんそのときには分かっていなかった。繰り返されるビート、フレーズが気持ち良いな、というばかりであった。
ブレイクビーツにのせて歌われるラップもすぐに好きになった。高校生の頃は、黒人に生まれたかったなぁとすら思っていた。

と、このような記憶が、パリオリンピックのブレイキンを観て、思い出されたのだった。

「牛のアキレス」をブレイキン!

しかし、オリンピック競技としてはどうか。採点の基準がいまいち分からないから、判定が妥当なのかどうか、疑問というかモヤモヤしたものが残る。
今後は、技の難易度にランクを付けてスケートや体操競技のような道をたどるのか。それともオリンピックからは外れていくのか。

四十年ぶりに触発されて、五十代の男がブレイキンごっこをする。犬とだ。
ユクはノリが良いので、付き合ってくれる。私たちのブレイキンは小道具ありで行われる。魚のぬいぐるみを用いてやるダンスがとても楽しい。
ユクはぬいぐるみの魚を、まるで生きているかのように扱う。くわえて放り投げ、また跳びかかって抑え込む。そうこうしているうちに、周りを敵に囲まれたような仕草をする。これがまた見所だ。ユクは辺りを見渡し、警戒感を高めている。周りの敵たちに横取りされないように、素早くお魚さんに跳びかかる。

金メダリストの肖像。

ユクの完勝だ。
本人も分かっているので、キッチン前に陣取って、褒美を要求している。

見事な演技とダンスを見せたユクに、本物のお魚で作られたおやつが進呈される。

それが私たちのブレイキン。
オリンピックに採用される日が来るとうれしいな。

ユク坊愛用のサカナ。