ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

人類の発展を支えた犬。

言うまでもなく、遺伝的に犬は狼からの枝分かれだ。基本的に狼は人に近付かないが、犬は人に近付くことで種を生きながらえてきた。人のほうもその恩恵に預かっている。
人の集落の周りに犬がいることで、外敵が現れると吠えて知らせたり、威嚇して追っ払ったり。人が安全に暮らすための警備を行ってくれていたのだろう。そのお礼として人の食べるもののお裾分けをもらう。人の役に立つことで、狩りをする労力を省くことが出来たわけだ。

ちょろいもんです。

ダイニングテーブルで食事をしていると、少し離れたところに気配を感じる。ユクがじとーっとこちらを見ている。この上目遣いが出来るようになったのも、犬の大きな特徴だそうだ。狼は白目を出して上目遣いなどしないらしい。犬の上目遣いは人間の心に響く。犬は食事が済んで、次は人間の番ということで食事をしているにもかかわらず、何だか悪いことをしている気分になってしまう。結局、それに負け、ユクにも余計に食べ物をやってしまう。朝、トーストを食べていたら、端っこのほうを摘んでちぎり、ユクにもお裾分けしてしまう。

欲しいわけじゃないよ。

ユクの日々の行動を見ていると、いつも犬と人類の関係のことを考えてしまう。愛玩用に作られた犬たちより、少し(かなり?)原始に近い感じがする。

ひとつに縄張り意識が激しい。家の敷地にガスメーターを確認しにきてくれた人に吠える。宅配便のお兄さんにも吠える。少しはマシになってきて、大人しくできることが増えたが、小さく唸っていることもしばしばある。

監視作業を休憩中。

ユクは、家の中での禁止事項にについて、とてもよく守る。フードやおやつの在り処は把握しているが、勝手に食べたり袋を破いたりということを絶対にしない。台所には入ってはいけない、というルールもよく守る。

一緒に暮らす人間のルールに従うことこそ最重要である、ということが自然と出来ている。代々そのような感じでやってきた血筋としか思えない。食べ物に関しては過剰には欲しがらないが、例のじっとりした目線で訴えることは上手だ。こんなことも誰に教わったでもなく難なくやってのける。

ユクの祖先にも感謝の心を持ち、ありがとうね、人間を支えてくれて、とユクを少し甘やかす。