ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

趣味というものは。

誰に対しても同じ態度を取れる人を尊敬する。裏表が無いと言うか、芯が通っていると言うか。そういう生き方に憧れるのである。

人間は社会的な生き物で、他者と関わることで生きて行くことができる。独りで何とかなると考えているのは、考えが浅い。そもそもおぎゃあと生まれてきて、誰も面倒を見てくれなければ人間は死んでしまう。そもそも他者と関わることで生きながらえてきたのだ。

おぎゃあ!

関わる相手によって、「自分」というものも変わる。これは自然なことだと思う。裏表が無い正確に憧れはあるが、実際にそのような生き方をしている人をほとんど知らない。いない、と言い切っても良いのではなかろうか。

親に対する自分、友達に対する自分、仕事仲間に対する自分、恋人に対する自分。皆違うものだろう。

飼い主にだけ見せる自分。

ユクも、相手によって態度をまったく変える犬だ。特に髪の毛を派手な色に染めたマダムに跳びかかろうとするのはやめていただきたい。「お利口なワンちゃんねぇ」と褒められた途端に阿呆になるのも勘弁して欲しい。
本当にお散歩中は気を抜けない。

オレのシマで何を騒いでるのだ?(と、由比ヶ浜でやるのはやめて欲しい)

私と妻でも、ユクの態度は違う。
妻にはよりわがままを言っている。私はわがままを許さないので、ユクは少し遠慮しているようだ。私が留守のとき、ユクは妻にわがままを通し、朝の散歩から帰ってきても、家の中には入らないことがある。外にベッドを出してもらいたいのだ。本当に外が大好きな犬である。

お外大好き犬。

しばらくすると、風が冷たくなってきて、小刻みに震え出したそうだ。それでも頑として中には入らない。それでも半ば引きずるように家の中に入れると、くたびれた様子で眠りこけるそうだ。

なぜそのように疲れる監視業務を外でやりたがるのか。趣味なのだろう。趣味というものは理屈では語り尽くせない。