ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

夜中に吐いた犬と動揺が隠しきれていなかった飼い主。

うぐぐぐ。
という音で目が覚めた。

掛ふとんが盛り上がる下で、ユクが背中を丸めて立っていた。
うげうげうげ。と吐いた。吐いたものはドッグフードのような物だったように思うが、寝ぼけていてよく覚えてない。

そんな格好で寝るからではないか。

 

ユクは口をぺちゃくちゃとしていている。胃液が口に上がってきて気持ち悪いのだろうか。
あまり人間が騒ぐとユクが萎縮してしまうので、冷静を装った。妻は装っているのではなく、冷静そうだ。妻が下のキッチンから水を汲んできてユクに差し出した。あまり飲まなかった。人間とはまた違う反応なんだな。

君たちは何もわかっていない。

ベッドのシーツの上を片付けなければならない。
冷静を装った私はキッチンからキッチンペーパーを持ってきた。すると、すでに妻がトイレットペーパーで処理し始めていた。私の手元を見て、流せません、と一言。たしかに。

雑巾を持ってきなさい、という妻の命令に従い、洗面所で雑巾を濡らして持ってきた。洗いたてではあるが、いつもユクの足を拭っている雑巾なので、妻は苦笑した。

わかっていない。

犬はよく吐くそうだ。
ユクが吐く場面に、これまでも何度か遭遇はしている。
それでも寝ているときに突然来れば、動揺するものだ。

特に悪いものは食べていないはずなのだが、羽毛布団が暑すぎたのか。
理由はわからない。

ガニ股犬。

人間がシーツを替え終わるころには、ユクも平然とした顔に戻っていた。
吐いた直後は、わたしゃ知りませんよ、という感じの顔をしていた。あれは、もしかしたら叱られるかも、とでも思っていたのだろうか。

その後は健やかに寝て、朝のお散歩は元気に出かけていった。