ユクは人間のお布団が大好きだ。
寝る時刻が来ることをとても楽しみにしているように見える。
ユクの体内時計はなかなか正確だと感じる。こちらが少し夜更かしをしていても、いつも寝ている時刻になると、早く二階に行って寝ようよ、という態度になってくる。動物の体内時計はすごい。人間も動物なので、この能力があるはずだが、随分と鋭さは落ちてしまったのではないか。
夜、ユクとお布団に飛び込むと、とても幸せな気持ちになる。
ユクはマズルを掛け布団に突っ込んで全身で幸せを表現する。そしてかなりの高確率でヘソ天を披露する。静止版のヘソ天ではなくて、くねくね動くタイプのヘソ天である。くはっはふっ、と息をもらしながらベッドの上でくねくねし続けている。全身で幸せを表現する、と申し上げたのは、このことを指す。
寝方も色々だ。
寄り添って来ることもあれば、人間の股の間に潜ってくることもある。妻曰く、周りが囲まれていて安心なのでは、ということだ。だが、掛け布団もかぶっているので、すぐに暑くなるのだろう。ユクはほふく前進で這い上がってくる。掛け布団から顔を出し、ぷへーっと息を吐く。暑かったのか。なぜ潜る。
潜っては這い上がり、を一夜のうちに五回ほどやっているだろうか。這い上がったあと、ブルブルと身体をふるわせたりもする。その度に人間は起こされるのだが、そんなことがどうでもよくなるくらいに、犬と寝ることは幸せな時間だ。