私はあまり水を飲まない。水分を摂らないと身体に良くないことは知っているが、食事のときなどにガブガブと水を飲むのはいかがなものだろうか。噛めば唾液も出るので、まったく困らない。味が水で薄まってしまうのももったいない。そのようなことで、特に食事中は水分を摂らない。下戸であることも関係しているかもしれない。
食事のときだけでなく、日常生活においても、あまり水分を摂らない。喉が渇かないのだ。最近では、妻に叱られるので、なるべく飲むように、と心がけるようになった。血流が良くなるので、飲んだほうが良いことは知っている。気を付けたい。
水分を摂れ摂れと、妻からうるさく言われるのは私だけではない。ユクもその対象である。ただし、私とは扱いが違う。ユクの場合、水を飲むと、「偉いね〜」と大げさに褒められる。「犬は褒めて伸ばす」を実践しているのだ。私も褒められると伸びるタイプだと思っているが。
ユクも私同様、いや私以上に水を飲まない。散歩中「阿呆」になり、駆け回ってはぁはぁ息をついているにも関わらず、水を差し出すとプイと顔をそむける。水ではない、欲しいのはおやつ、と言わんばかりである。
あまりにも水分を摂らないユクを見かねて、妻がスープを作ってくれる。人参スープや牛肉スープ、鳥のそぼろ入りスープなど、バリエーションも豊かだ。これが、味が付いていると旨そうに飲む。ユクは現金な奴だ。
最近では、ヤギミルクというものも買ってもらっていた。粉のタイプで、お湯で溶かしていると、甘く良い香りが漂ってくる。丸まっていたユクがキッチンの側までやって来る。さすがに鼻の利く男だ。
ヤギミルクも大好きなようだ。
名残り惜しそうに、ボウルをいつまでも舐めている。
おかげで飲み終わったあとのボウルはピカピカである。
妻の「ユクに水分を摂ってもらう作戦」は大成功を収めている。