ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

朝比奈切通ハイキングコースへ、ユクとゆく。

小田原へ行こうと考えていた。
ところが朝起きてみると津波注意報が発令されていた。調べてみると西湘バイパスは通行止めだ。せっかくなので海を左手に小田原へ行きたいではないか。

小田原城。ユクを連れていきたい。

天気は良い。
妻がすぐに代案を出してくれた。朝比奈切通ハイキングコースだ。北鎌倉は少し距離があるので、普段の散歩で足を伸ばすには遠い。車で近くまで行って、ハイキングコースに入るのが良さそうだ。

運転に慣れていないので、行き当りばったりでは嫌だ。事前にできる限り調べた。十二所側の入口には駐車場がない。霊園に停めて行くこともできない。横浜側の入口ならいくつか駐車場があった。駐車場のレビューを確認してみる。「朝比奈切通ハイキングコースへ行くのに利用しました。見つけにくいので空いていました」とある。バッチリだ。こういう情報を求めていたのだよ。インターネット最高。

車の鍵を用意しただけで、ユクは感づいた。ワクワクそわそわが始まった。しかし、まだ朝の散歩前だぞ。用を足しに行かねばならぬだろう。妻がユクを朝の散歩へ連れ出す間に車の準備を進める。ユクは置いて行かれるのではないか、と不安な様子だ。

すぐにユクと妻が帰ってきた。
用を足して、もういいだろう?という感じでユクは家に帰りたがったそうだ。そんなにさっさと用を足せるのなら毎日そうして欲しいものだ。これからいざという時は車の準備をするようにしよう。

車には絶対に乗りたい俺。

事前の調べ通りに穴場の駐車場に停めることができた。ハイキングコースへの入り口にも近かった。駐車代も安い。インターネット最高。

車で来たら楽だ。
すぐにハイキングコースへ入ることができる。自動車も最高。ユクはさっそく野性に帰ったギラついた目をしている。鎌倉の切通はいろいろ歩いたが、ここもまた良い。北条泰時が指揮して鎌倉と三浦半島をつなぐ道を作った、と看板に書いてあった。「鎌倉殿の十三人」の影響で、泰時と聞けば、演じていた俳優の顔がイメージされる。

記念撮影とかどうでもいいからはよ。

途中、熊野神社への案内板があった。ハイキングコースを逸れて、そちらに行ってみた。大きな大きな銀杏の木があり、石段がその脇にある。石段を上るとそこに熊野神社があった。山の奥にある神社ながら、整備されていて、近所の人たちに大切にされていることが感じられる。

熊野神社前。

熊野神社の横に道は続く。
もと来た道を戻り、ハイキングコースに帰ったほうが良いのか、このまま進むのが良いのか。上からグループが下りて来られたので尋ねてみた。「分かりません。皆自信ありげに進んでおりますが、私たちは引き返してきました」とおっしゃった。分かる。それが賢明だ。「上から海が見えますので、それはご覧になると良いですよ」と教えてくださった。そうだ、もう少し上がって、景色を眺めて、適当なところで引き返すのが良かろう。

上からは横須賀方面の海が見えた。確かに良い見晴らしだ。そこを過ぎると道は下り始めた。iPhoneで地図を確認する。朝比奈切通ハイキングコースにどこかで繋がりそうだ。このまま進んでみようではないか、ということになった。そもそも、ユクは戻る気などさらさらない感じではあるが。

怖がってないで、早くいこーぜ。

道は踏みならされているので、人はよく通っている道のようだった。少し急流滑りのような狭く険しいところもあったが、無事ハイキングコースへ合流することができた。十二所側の入口近くだった。

ガンガン進んでいくユク坊。

ここから、ハイキングコースを戻る方向に歩いて行けば、車を置いてあるところへも辿り着く。しかも同じ道を通らずに戻ることができる。十二所側の入口近くには、景時が上総介を討ったあと、血を洗い流したと云われる「大刀洗の水」もあった。ここでも、中村獅童佐藤浩市の顔がよぎる。

見逃してしまいそうな「大刀洗の水」

ユクを車に乗せると、病院へ行くことが多い。たまにはこうやって楽しい体験もさせてやらねば。

野山をパトロールした犬は疲れきって帰りの車中ではぐっすり寝ていた。

そんなところでへたり込んでたら、磨崖仏も笑ってるよ。