ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

鎌倉、大仏ハイキングコース。茶室跡へ、ユクとゆく。

二〇二三年一月二日。
葛原岡神社でお祓いをしていただき、清々しい気分となった私たちは、浄智寺、源氏山から長谷へとつながる、「大仏ハイキングコース」を進んでいく。源氏山からは、化粧坂切通を下れば、短時間で自宅に帰ることができる。しかし、この日は休日であるから、もっと時間をかけて歩くこととなった。このコースは案外時間を要するので、気合いも入る。ユクもぐいぐい引いている。これはいつものことだが。

諸君、ついてきたまえ!

本格的な山道に入る前にしばらく住宅が並ぶ。鎌倉の街から湘南の海岸までを一望できる立地で暮らすのは最高だろうな、とこのような場所で暮らすことを想像しながら歩く。都会暮らしに慣れきった私には不便と感じることも多いかもしれない。それでもこの眺望や自然に囲まれた場所は、素晴らしい。

茶人としては行かざるを得ない。(ピンぼけ)

山道に入ると、「茶室跡」と矢印が書かれた、竹でできた案内が見えた。この先まだまだ長いのに、こんなところで道を逸れて寄り道しても良いのだろうか。今度にしようか。妻と相談の結果、折角の機会なので、行ってみることにした。次回はいつになるかは分からない。思い立ったが吉日である。

ちょっとさっきの匂いも気になるな。(寄り道のプロ)

しばらくして、少し後悔の念。「茶室跡」を示す看板が何枚も続くのだ。一体いつになったら辿り着くのか。この先何メートルなどと表示してくれていれば良いようなものを。撤退も頭をよぎったが、ここまで来れば行くしかない。先の方でユクに引かれた妻が、もうそろそろ着きそう、と声を上げた。七八分くらいだったろうか。時間はそんなにかからなかったが、いつ着くか分からないときの体感時間はやはり長い。

これが茶室跡!

そこはたしかに「跡」であった。茶室は一切残っていなかった。ただ、そこに茶室があったのだ、ということを心の目で見て、そこからの風景や庭から茶室に躙り入った瞬間、茶室内でのひとときを想像するばかりである。

あじさいで囲まれたこの場所は、夏にはあじさいが咲き乱れるのだろう。妻にはその光景が見えていたようだ。また、初夏に訪れたい。

長谷から由比ヶ浜まで歩いてきてご満悦のユク坊。