ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬が遊びに誘う。遊んでやったのだから……

ユクにはいくつかのおもちゃが与えられている。ぬいぐるみの類はすぐに破壊され、内臓(綿です)がぶちまけられる。ゴム製の歯応えのある物は案外すぐに飽きる。ユクと同郷の犬たちが好んでいるというお肉のぬいぐるみをあげてみた。これは気に入ったようだ。

みんなと一緒で飼い主うれしい。

お肉部分ではなく、骨の部分を破壊して、お肉は大切にしている。人間の考えでは及びのつかない拘りがあるようだ。お肉の両端にある小さな穴に鼻先を突っ込み、フンフン鼻を鳴らして楽しんでいる様子をよく見かける。

ロープで「引っ張りっこ」遊びをするのも好きだ。いつも人対犬であるので、犬を相手にやらせてみたいものだ、と思っている。

ロープも破壊対象であるので、引っ張りっこしようとするときには、すでに短く切り刻まれていて、人間の持つ部分がほとんどなくなっているという危険な状態であることも少なくない。ひやひやしながらロープをつまむ。

どこまでを破壊するのか、というところも、謎が多い。とことん破壊してしまわないのだ。つまりは、ボロボロになったおもちゃだらけになってくる。それでもユクが気に入って遊んでいるのだから、捨てるわけにはいかない。

引っ張りっこ遊びに誘うユク坊。

ユクはこれらのおもちゃを咥えて、椅子に座っている私の横にやってくる。しょうがないな、遊んでやるか、と席を立ち「持って来い」や「引っ張りっこ」をして遊んでやる。

ふと。
いや待てよ。
遊んでもらっているのは私なのか?との疑念が浮かぶ。幽霊に怯えていた主人公自身が幽霊であったというサスペンス映画のどんでん返しにあるような認識の転換である。

ひとしきり遊んだあとの犬が、利口にお座りをしてこちらを見て微笑んでいる。遊んでやったんだから、あれを持ってきてね、という表情にも見える。

わかってるよね?