ユクが飛行機に乗るのは二回目だ。
保護された宮古島から関東に来る際、飛行機に乗った。クレートに入らなかった犬も今では見事に自ら入れるようになった。そもそもクレートに入らなければ、災害時にも困る。本当に入れるようになって良かった。
成田空港でユクとお別れをした。さすがに不安そうだ。脚は震えている。向こうに着いたら、また会えるということを説明するも、理解はしてもらえてないことは分かった。飛行機が離陸した後も、犬のことが気になって仕方がない。客室乗務員に「ユクは元気でしょうか?」と尋ねるも、「申し訳ございませんが、お預けになった荷物のことは……」と仰るので、「ユクは荷物じゃないのです!犬なのです!」と私が大声で言ったものだから、機内はちょっと騒然となった。すみません。
空港に着き、手荷物受取場でユクを待つ。
ベルトコンベアに載って現れるのだろうか。そんなことはなかった。
受け取り場の後ろの扉から、クレートが運ばれてきた。ユクだ。
クレートの中を覗き込むと、少しあきらめたようなユクがいた。ごめんよ。
しかし、クレートから出してやると、いつものユクに瞬時に戻った。それでこそ、我が犬だ。
レンタカーを借りて、サンタフェ、アコマ族の住居見学、セドナなどを旅した。
広大な大陸を阿呆になって駆け回るユク坊。
ユクがiPhoneを貸して欲しいと言った。
貸してやると、様々なスポットで自撮りをしていた。犬にそんなことが可能なのだろうか。しかし、カメラロールにはユクの自撮り写真が収まっていた。
エイプリルフールだと張り切ってみたが、おもしろいフィクションを書く才能はまったくないようだ。ユクの写真を切り抜く作業でくたびれてしまった。