ユクは保護犬なので、生まれた日は推定だ。歯の様子などを獣医さんに見てもらって、おおよその月齢を知る。そこから逆算して、生まれたであろう月を定める。ユクは2019年の9月頃に生まれたと推測された。つまり、今年2021年の9月で二歳になった、ということだ。
生まれ月はおおよそ分かるのだが、日にちまではさすがに分からない。これは飼い主である私たちが勝手に決めるしかない。一応は決めたけれど、しっくりは来ていない。これよりか、やはり「うちの子記念日」と呼ばれる、お家へ来た日のほうが、数字を見てもじんわりと感じ入るものがある。保護犬だから、余計にそう思うのだろう。
ユクの誕生日として定められた日。特に何をするでもなく、いつもどおりの一日を過ごした。しかし、夜に少しだけサプライズがあった。妻がサプライズケーキを作ってくれていたのだ。ユクよりも私のほうがサプライズした。
急ごしらえで準備してくれたようだ。人間がうれしそうにハッピーバースデーを歌っているのをよそに、早くそれが欲しいユクの目はケーキの皿に釘付けだ。
ユクは、先に大好きな人参、ヨーグルト、クランベリーを食べた。じゃがいもで出来たケーキのボディ部分は、しばらく嗅いだりなめたりして慎重に調べていた。得体のしれない物という認識らしい。が、次の瞬間、なんと丸いケーキが消えてなくなっていた。
え!?丸呑みしたの?ユク。
私たちは大笑いした。