ユクと散歩をしているときに、毎日のように前を通っていながら、なかなか行くことのできていなかったカフェに、ようやく行くことができた。とっても美味しいモンブランと深煎コーヒーをいただいた。そればかりか、なんとユクも一緒にお邪魔して、小一時間ほど、贅沢で優雅なひとときを過ごすことができた。カフェの名は「欒(おうち)カフェ」だ。
犬の散歩中にミニチュアシュナウザーとトイプードルを連れた男性と出会うことがあった。何度かお会いするうちに、欒カフェのご店主であることを知った。ウェブページを拝見すると、大好きなオムライスやスイーツがメニューとして並んでいた。そして、あの子たちは看板犬なのだ。
またお会いしたときに、「また今度うかがいますね」と申し上げながら、「犬もOKでしょうか?」と恐る恐る尋ねてみた。なにせユクは、カフェでじっとすることのない落ち着きのない犬だ。しかも散歩中によくお会いしているので、ユクのハチャメチャぶりもすっかりご存知のはず。ご店主は快く、大丈夫ですよ、とおっしゃった。大型犬でなければ一応犬の同伴もOKとのことだった。予約をし、いよいよユクを連れて訪問することとなった。
当日、いつもの散歩コース。どんな階段でも駆け上がるのが大好きなユクは、促すと迷いもなくお店の階段を駆け上がった。こういうときにいやいやをしないのは助かる。玄関扉までやって来ると、中から窓越しにミニチュアシュナウザーのまるちゃんとトイプードルのらんちゃんがお出迎えしてくれた。ユクは少し圧倒されて、ここではじめていやいやをした。
カフェの中に入ってから、犬同士で少し挨拶をしたものの、ユクは借りてきた猫のようにおとなしい。ミニチュアシュナウザーのまるちゃんが、「こういう場所ではおとなしく座っているものですよ」と、ユクをしつけてくれているようだった。ユクはちょっとプレイバウをしてみたり、まるちゃんに対してけしかけようとしたが、ワンと一喝されていた。犬の牧羊犬気質と言おうか、群れをまとめるための能力と言おうか、そのようなものを垣間見た。
かくして、ユクは足元でおとなしく座っていてくれた。いつもは片手にリードを握りしめ、気まぐれなユクと格闘しながらもう片方の手で慌てて食事をするはめになるのだが、この日は冒頭で申し上げたとおり、大変「贅沢で優雅なひととき」を過ごすことができたのだった。
友達のお誕生日会でお家に招待されて、少しかしこまってケーキをいただいた小学生の頃の記憶が蘇った。完全にお店というわけではなく、お友達のお家で過ごすような、そのような温かい体験ができた。「おうちカフェ」とは絶妙な名だ。
またユクがどのような反応をするのか、お散歩でもお会いするのが楽しみだ。