ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

ユクが来た日

犬を迎えるということで色々準備をしなければならないけれど、犬を飼ったことのある妻にほとんどおまかせの状態である。私のやることと言えば、せいぜい電源コードをまとめたり、犬に危なそうなものを片付けたり、おみやげの珈琲豆を買いに行ったりする程度のことであった。要はオロオロしているだけとでも言おうか。

車に乗って、ユクはやってきた。
連れてきてくださった保護犬預かりボランティアのご夫婦にはすでになついているようで、ユクは旦那さんの周りをゆっくりしっぽを振りながらうろついていた。何か楽しいことが始まる期待感を持っているように見えた。まさかそのまま置いていかれるとは思っていなかったのだろう。

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注意事項をうかがったり、尋ねたいことを尋ねるなど、少しお話をし、おみやげの珈琲豆を手渡して、ボランティアのご夫婦を見送った。当然ながら、ユクは置いていかれた。

しばらくはケージで眠ったり、部屋を探索してみたり、と余裕が感じられたが、夕方になって、窓から外を眺めてピーピーと悲しい声を出す。ボランティアのご夫婦が連れに帰って来てくれるのを待っているのだろう、じっと窓の外を見ている。せつない。本当にうちに慣れてくれるのだろうか。こっちも不安でいっぱいだ。

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夕方になったので、お散歩に連れ出そうと玄関まで連れて行った。するとユクはブルブルと震えだした。ああ、もうボクだめだ・・と言わんばかりに身体を震わせていた。ああ、ごめんごめん、大丈夫だよ、と散歩はあきらめて、家の中に戻してやった。

ユクが来た日は、犬も人もお互いに不安を抱えたまま床についた。
ユクは1階のケージで、私たちは2階のベッドで眠った。