ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

お庭でバーベキュー。地べたに住む、団地育ちの飼い主。

私は団地で育った。
高度経済成長真っ只中の団塊ジュニア世代ということになるのだろう。高度経済成長期の何が良かったのか、というと世の中に不安が感じられなかったことではないか。もしかしたら私が子供だったので、単に不安を感じられな買っただけかもしれないし、両親が私に不安を感じさせないように配慮してくれたおかげかもしれない。

団地の風景。

 

九十年代になってから、つまりいわゆるバブルが崩壊してからというもの、ずっと不況気分が続いてきた。不況はデフレのおかげでごまかされた。牛丼を二百八十円で食べられたりしたので、景気が悪くてもそれなりに楽しく生きていくことができた。失われた三十年は、デフレ脱却によって改善するのだろうか。

脱却!

話が随分逸れたが、私は団地で育った。
四階に長らく住んだ。だから四階から下を見てもまったく怖くない。十八歳になって、マンションの九階に引っ越した。最初は少し怖かった。少しして慣れた。一〇階以上は今でも怖い。

鎌倉に越してきて、初めて地べたに住んだ。二階建ての家だ。地べたに住むのは不思議な気分だった。外と内の境界が脆弱な気持ちがする。それでも数年でやはり慣れた。人間は何でも慣れるもので便利だ。

ささやかなBBQの様子。

外と内の境界が曖昧になったので、お庭でバーベキューというのも身近になった。バーベキューに必要な物を全て揃えてからバーベキュー会場に行かなくてもよい。すぐに取りにいけるから。団地のベランダでも同じようなことはできるが、バーベキューは無理だ。ベランダからもくもくと煙を出すわけにはいかない。ホタル族と呼ばれたベランダで煙草を吸うお父さんも今では肩身が狭いことだろう。

煙いのだめなんだよね。

蚊が飛び始める少し前、五月の初旬はお庭でバーベキューするのに丁度よい。毎年恒例になってきた。夏の終わりにもそのチャンスはある。だから春と秋に行われる行事だ。

ユクも一緒にお庭でバーベキュー、と行きたいところだが、ユクは煙が苦手だ。窓越しに参加してもらっている。窓から見えるように「つまらないポーズ」をして、猛烈にアピールする。

窓際で「つまらないポーズ」をするユク坊。

ユクに調味料を添加していないお肉を焼いてやる。目の輝きが違うので、相当なご馳走のようだ。少しお肉をやりすぎてしまうけど、たまにはいいさ。

地べたに住むのも良いものだ。