神戸、大阪、小田原、鎌倉。
私の暮らしてきた地域は、いずれも観光地だ。
ここ北鎌倉は、年中というわけではない。六月の紫陽花の季節のみ、線路端の道が観光客でごった返す。パンデミックも明け、これからもっと海外からの観光客が増えていくと、鎌倉の辺りはまたすごい賑わいになるに違いない。
賑わいがあるのは良いことだが、それが行き過ぎると困ったことになる。あからさまに道にゴミが増えるし、付近の住人が電車に乗れなくなってしまったりもする。江ノ電などがその良い例だろう。地域経済が潤って、それが地域住民にも還元されれば、「持続可能」と呼ばれるような状態になるのかもしれない。が、世界的に見ても、あまり地域住民に還元されている様子はなく、むしろ地域住民の生活の質を下げてしまっていることが問題となっているようだ。この状況を指して、「オーバーツーリズム」と呼ばれている。
先月、フランスでは、観光相のオリビア・グレゴワールが、「旅行者の数を減らす」戦略を発表した。が、「具体策は未定」だそうだ。日本もいずれそのような対応をして行かねばならない時期が来るのではないか。遅きに失することがないよう、政府にはお願いしたいものだ。
観光客であふれる六月は、ユクとの散歩をなるべく遅めにしていることは前に書いた。ただでさえ(勝手に)縄張り意識の強い犬であるから、見知らぬ人や犬が大勢いるところは避けたいのだ。迷惑をかけてしまう。秋や冬はダニが付く心配もないので、山を静かに歩くことができる。しかし、夏の間は、蜂や蚊も多く、山道にはあまり入らないようにしている。そんなこともあり、夏の散歩コースは選択肢が少ない。
ユクはバリエーションの少なさなど、まったく気にかけていない様子だ。毎日同じコースでも大丈夫なのではないか、というくらいに楽しそうに歩いている。人間側は飽きてしまうので、少しでもコースを変えて歩くようにしている。
地域社会を盛り上げていくには、地域住民同士の繋がりがとても大切だと思う。犬を散歩に連れている、という共通点で地域の人との繋がりができた。ここからなにかポストコロナ、ポストオーバーツーリズムへと進めていけないか。
具体策は未定です。