ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

頑固ジジイかやさしい爺さんか。

人間の子供たちの成長は体感としてとても速い。知り合いの子供たちもあっという間に大きくなっているし、顔つきも背丈もどんどん変わる。犬の成長はそれ以上に速い。そのように感ずるのは、人間の寿命を基準とした時間感覚を犬に当てはめて考えているからだろう。犬は二年もすれば成犬となる。つまり大人だ。人間はどうしても「人間で例えると二十五歳くらいだね」などと言ってしまう。

犬は二年で(人間で言うところの)二十五歳になってしまうのだから、人間の感覚からすると、速いと感じる。顔つきは成犬になったあとはそんなに変わらない。十歳を超えた犬でも見た目は若々しい子がほとんどのように思う。

うちへ来て初めての散歩。ユクは七ヵ月齢ほど。(尻尾下がりすぎ!)

ユクは二歳半となった。
この犬なりに、落ち着いてきたように感じる。近所の知っている犬には飛び跳ねてアプローチするようなこともなくなった。しかし、地元意識なのか縄張り意識なのか、観光客が連れている犬に対しては唸ることが多い。マーキング行動も積極的にするようになった。

自分より若い犬に対して優しさを発揮するのは、今でも変わらない。匂いを嗅がれても乗っかられてもよく耐えている。それでもあまりにしつこく来られると、怒って相手の犬を威嚇してしまうことがある。最初そのような行動が見受けられたときには驚いたが、いまではユクの鼻の上あたりや耳の倒れ方を観察するようになり、ユクが怒り出しそうな雰囲気を掴むことができるようになった。鼻の上、つまりマズルのあたりにシワを寄せて、機嫌悪そうな表情を見せるのだ。こうなると危ないので、ユクを他の犬から離すように心がけている。

もうすぐ喋りだしそうなユク坊。

何が嫌なのか、それは分からない。知りたいのは山々だが、私たちは犬の反応を観察して対処する他ない。さらに歳を重ねて、もっと堪忍袋の緒が切れやすくなるのか、気が長くなるのか、気になるところである。

やさしい爺さんになるか、頑固ジジイになるか。

ユクとゆく私。頑固ジジイと頑固ジジイでは目も当てられないので、私自身は(一応)やさしい爺さんを目指して、今後に備えておきたいと思う。