ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

人がいなければいたずらをしない犬。

我が家では、犬の行動範囲が月日を追うごとに拡がっていった。今や禁止されている場所は台所くらいのもので、その他は自由に行くことができる。最初の一年間は、二階へ来ることを禁じていた。寝室も仕事部屋も二階にあるので、寝るときと仕事をしているとき、犬には一階にいてもらっていた。「駄目」と教えれば、この上に何があるのだろうか、などと好奇心にまかせて二階へ行ってしまうこともなかった。ユクはその点、一緒に暮らしやすい犬なのだと思う。

お利口にするのは得意です。

ユクはお留守番中に悪さを働くこともない。ユクを見守るためのカメラを設置しているので、私たちは外出中でも、家の様子を観ることができる。ユクは独りでいるときのほとんどを寝て過ごしている。うろうろ物色することもないし、散らかして遊ぶこともない。食べ物のありかをもちろん知っているはずだが、漁ったりもしない。誰もいないからといって、二階で好き勝手することもない。

留守のとき、ベッドで寝てるの知らなかった?

ユクがいたずらをしない犬かと言えば、まったくそうではない。大変にいたずら好きである。ただし、人間が家にいる時だけに、いたずらをする。いたずらは人間と遊ぶためであり、人間の気を引くためであるのだ。自分の要求が通らず、むしゃくしゃしたときにユクは、紙ゴミ置き場から紙を拾ってきて、盛大に引きちぎって遊ぶ。これでどうだお前ら困るだろう!という威勢の良さだ。これを留守中にやられたら一番困るということをユクは理解していない。

猟犬モードのユク坊。

お留守番が上手、という表現でユクを紹介することもできるが、カメラの向こうのユクは寝てばかりでつまらなそうだ。「上手」は完全に人間の都合でしかない。可哀想で、帰宅を急いでしまう。帰ったら、お留守番上手だったね、と言って大好きなおやつをあげる。好きで「上手」なわけではないのは分かっている。

そして存分に、ユクのいたずらに付き合ってやるのだ。

靴下にいたずらするユク坊。