ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

金木犀の香る季節。くしゃみする犬。

二十年近くお茶のお稽古をしている。
だから、子供の頃よりは季節感というものを大切にしているように思われる。この自信のない書きぶりは、季節に鈍感である、という自負があるからだ。そうなる理由の一つに、草花の種類に弱い、ということが挙げられる。お茶を習い始めた当初も、花の名前が覚えられない、花が苦手だ、と言えば、花の得意な母に「草なのか木なのか、まずはそこからや」と言われたものだ。いまだに、草なのか木なのかよく分かっていない。

これはどっちだ?

緑の多い北鎌倉では、電車の扉が開いた瞬間に、わっと金木犀の香りが感じられる。線路の横の道を歩いている間中、ずっと金木犀の香りに包まれている。甘く、とても心地よい。そして、冬へと向かう、この季節に毎年香るものなので、さすがの私も金木犀は分かる。

香りによって、季節の変わり目を知る。
秋には葉が色づく紅葉もあるが、香りで知らせてくれる金木犀が私は好きだ。

見上げればそこに金木犀

小学生の頃。
金木犀は「トイレの香り」だった。つまりトイレに置かれる芳香剤の香りを先に知っており、あとから自然の中でその香りに出会ったのだ。長い月日が経ち、今ではトイレの香りとは思わなくなった。これを成長と言えるのだろうか。何れにせよ、トイレと切り離されたのは良かった。

におう!におうぜ!

ユクには充満する金木犀の香りは強すぎるようだ。
道すがら、何度もくしゃみをしている。豪快なくしゃみだ。
バイクの排気ガスで出てしまうくしゃみより、季節感があって良いではないか。

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