ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

捕食者の世界。

「捕食者の世界」というドキュメンタリーをNetflixで視聴した。
捕食者とは、他種の生物を捕まえて食べる動物のことを指す。人間も同様のことを行っているではないか、と思えるが、人間の設定した捕食者の定義は人間には当てはまらないそうなので、地球上で人類が最強の捕食者である、ということは言えない。知恵があり、道具を使うことでこの地球で幅をきかせていることには違いない。

子供の頃。「野生の王国」という番組がテレビで放映されていた。
野生とは自然とは本当に大変なところだ、と子供ながらに感じた記憶がある。それだけでも観た価値はあろう。そこから野生動物の研究の道へ、とならないところが私らしいところだ。

野生とは。

「捕食者の世界」は「野生の王国」と似ている。だが、映像が違う。
おそらくドローンやロボットを用いて撮影されていると思われるそれは、昭和のドキュメンタリー映像とは比べ物にならない。とても近づいて撮影されているように見える。コンピュータグラフィックスの技術も進歩しているので、すべてを鵜呑みにすることはできないが、エンターテイメントとしてとても優れている。

野生とは。

ライオンやピューマの回では、メスが子供たちのために狩りを行い、子供たちを養う姿が見られた。子育ての場にオスが不在だ。ここまでオスが関与しないことに驚く。オスは、「ワシの遺伝子を残すんじゃ、以上!」というくらいのことしか役割を果たしていない。男性にも育児休暇を、という現代の人間社会からすると、違和感がある。

メスは命懸けで狩りをする。相手の首に噛み付いて、振り回されて落とされそうになりながらもしがみついている母親ピューマのスロー映像を観て、手に汗した。捕らえられて可哀想だと思う気持ちを持つ暇もなく、母親ピューマを応援した。冷静に考えれば、映像制作者にまんまとはめられたのだが、下手なアクション映画よりも息を呑んだ。

過酷な世界を観て、我が身を振り返り、安全が確保されている環境に感謝の念が芽生える。そのようなものがなくても感謝できるくらいの心があれば良いのだが、凡人には比較対象が必要なようだ。

獲物に忍び寄るピューマは頭を低くして、まさに忍び足である。
見知らぬ犬に出会ったときや猫を発見したとき、ユクも同様の姿で忍び寄ろうとする。リードがなければ捕まえるつもりなのだろうか。人間と暮らすことで、使う必要のなくなった能力を持て余しているのだろうか。

母ちゃん、見てる?

ユクの何代か前の世代は、狩猟に連れて行ってもらったりしたのかな。
今はね、そのような必要はないのだよ。
他の犬とも猫とも、仲良くしてくれよな、ユク坊。