ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

犬に学ぶ。前向きなため息。

ため息ばかりをついていると、負のオーラに包まれるような気がする。実際そのようなことを信じて、ため息を意識的に排除してきた。幸せも不幸せもすべては相対的なものだ。どのような状況にあろうとも、もっと不幸な人が居て、それに比べれば自分なんて幸せなものだ、と考えられることが多い。究極には、「いま」幸せを感じることができていれば、ずっと幸せだ。過去も未来も「いま」の連続だからだ。

オレは「いま」耳で遊ばれている。

ただ、理屈ではそう解っていても、そう簡単には行かない。
なんと自分はアンラッキーなのか、と嘆くこともあるのが人生だ。むしろそのようなことで嘆いていることのほうが多いかもしれない。

冷静に考えよう。
この平和で安全な時代の日本に生まれてきたことは、世界的に見てもラッキー極まりない。蛇口をひねれば、飲める水が出てくる。うんうん。理屈は解る。それでも日々もやもやして、自分自身がちっぽけな存在に思えるのは一体何故か。
何者かでない人生のほうが、きっと楽だ。それでも皆、何者かになりたいともがいている。

間をすべてすっ飛ばすが、資本制度とSNSの最強コンビがそれを加速させている。

待ち受け画面。

犬もため息をつく。
観察していると、一日に何度も。

あーあ、なんだかうまく行かねぇな。
と、つくため息ではない。

人で例えれば何だろうか。
ああ、美味しかったなぁ。とか、ああ、楽しかったなぁ。
という瞬間につくため息に近いように思われる。

蛇口からみかんジュースが出るところもあるらしい。

ため息を悪として生きてきた人生だったが、これからはもう少し積極的にため息をついていきたい。前向きなため息だ。

前向きが習慣化されれば、人生の最後にも大きなため息をついて、力尽きることができると思う。大きく吐いたあとは、身体の力が抜けて、少しの空気が体内に取り込まれることだろう。

そういう息の引き取り方をしたい。

終わった?(はい、すみません)