ユクとゆく

宮古島で保護された犬、ユクとの暮らし。

出掛ける前の身体検査。

空港での手荷物検査場が苦手だ。何度も経験することによって、少しは慣れた。それでも、ちょっと嫌だな、という感覚は変わらない。何も悪いことはしていないし、持ち込んではいけないものを所持していない。「誰かに荷物を手渡された」こともない。それでも、あのゲートをくぐるときは、ピーっと鳴りはしないか、と頭を低く、肩をすぼめて通り抜ける。鳴ったことはない。

生きた心地はしませんが、飛行機からの眺めは最高です。

国際空港には麻薬犬もいて、麻薬を隠している人を見つけるようだ。犬だ、可愛い!などと見る余裕もない。もちろん、麻薬など所持はしていないのだが、犬と目を合わせるのは怖い。あのような訓練された犬に、わんチュールを差し出すとどのような反応を見せるのだろうか。実験してみたいが、妙な勘違いをされても困るので、きっとしないと思う。

仕事の邪魔を全開で行うユク坊。

普段、自宅で仕事をしている私は、ずっと犬といる。
二階の仕事部屋に行くときも、ユクはてくてくと階段を付いてくる。仕事が一段落したときは目ざとくその雰囲気を察知して、私よりも先に一階へ行く準備をしている。

ほれ、行くぞ!

月末。郵便局やら銀行やらへ用事に行くことがある。
部屋着のような格好で隣の駅まで行くのだが、まったく部屋着というわけではない。一応着替える。見た目は大して変わらない。ユクはそれもよく気がつく。お出掛けするのだ、と察知するのだ。ユクにとって、次なる大きな問題は、「自分が連れて行ってもらえるかどうか」だ。

どのカバンを持っているか、どのズボンを履いているか、など、いろいろと見ているようだ。そして、着替えて降りてきた私に近づいて、足の先からくまなく嗅いで回る。空港にいる犬にもされたことがないくらいに匂いの検査を受ける。

連れて行ってもらえなさそうだ、のポーズ。

最後に、どうやら連れて行ってもらえなさそうだ、ということもどこかで察知する。それはこちらとしても悲しい瞬間だ。せめてものお詫びにおやつを少しやる。

留守番の度にこんな検査を受けなければならない。
余計に家に引きこもるのである。