一体何が気に入らぬのか。
散歩途中、出会った犬に思いっきり吠えることがある。ユクとは二年近く一緒に散歩へと出かける仲であるので、ユクが吠えそうな犬は大体分かるようになってきた。気がする。
まず、ダルメシアンには必ず吠える。「101匹のワンちゃん」で有名なあの犬種だ。少し身体が大きく、スタイルも良いダルメシアン。ユクはどうも苦手らしい。苦手だから、とビビって小さくなっているくらいなら可愛いものだが、飛びかからんとする勢いでリードを引き、吠えかかるものだから、困る。これでは誰も得をしないので、遠くにダルメシアンを見つけたら、なるべく早く、歩くルートを変更するように努めている。
ある犬種が苦手な風に書いたが、犬種というくくりでユクの好き嫌いを判断できるわけではなさそうだ。たとえば、ミニチュアシュナウザーという犬種の犬と近所でよく出会う。仲良くしてもらっているミニチュアシュナウザーも多い。それなのに、ユクが吠えかかろうとするミニチュアシュナウザーもやはり存在する。つまり犬種でひとくくりにはできないということが、ここから分かる。
それならば、何を基準に、吠えたり仲良くしたりしているのだろうか。ユクの場合、自分より若い、という条件は大きい。これは本当に仲良くできる第一条件と言える。次には身体の大きさだろうか。
犬の気持ちが、少しは分かるようになった気がするが、ユクの他の犬に対する好き嫌いには、まだまだ謎が多く、気がする、と言うのもおこがましい。